連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第95話「来るべき時が来た」

雄玄社

少年ランド編集部

北村「編集長 読者から ハガキが 来てますよ 『鬼太郎』の事で。」

福田「へえ~ またか。 この頃 よく来るな。」

(電車の通過音)

水木家

居間

豊川「正直なところ 今回も 読者の人気は 低いと思います。」

茂「すると… 打ち切りですか?」

布美枝「打ち切りか…。」

豊川「いえ 伺ったのは これを お見せするためです。 これは ほんの一部で 同じような手紙が 連日 編集部の届いています。」

茂「はあ~ とうとう来たか…。 『怖くて うなされた』。 『飯が ノドを通らん』 そういう 苦情の手紙ですよね。 実は 前にも来た事が ありまして。」

豊川「『少年ランド』よ よくやった。 『墓場の鬼太郎』こそ 待ち望んでいた 怪奇漫画だ」。 『前に載った号を買いたいが 手に入らないか』。 『墓場の鬼太郎』を 連載にしてほしい』。 いずれも 熱烈なファンからの手紙です。」

豊川「子供から高校生 大学生からも来ています。 社内では 打ち切りという声も 上がってはいますが 少数でも 熱いファンがいる漫画は いずれ 化けるというのが 私の信念なので。」

茂「化けるか…。」

豊川「思い切って ここで 勝負しましょう。 『墓場の鬼太郎』 連載開始です。」

茂「えっ?!」

布美枝「週刊誌で連載?」

茂「ちょっと 待った。 あんた 随分 思い切った事 言っとるようだが。」

豊川「私にとっても これは 勝負です。 当たれば 『少年ランド』の 新しい看板になりますから。 『鬼太郎』は それだけの器ですよ。 もっとも 週刊連載となると 今のままと いう訳には いきません。」

茂「ええ。」

豊川「読者の興味を 次週に引っ張るための 仕掛けも必要です。」

茂「『続きは 明日の お楽しみでございま~す』 か…。」

豊川「何ですか? それ。」

茂「紙芝居の最後の決まり文句です。」

豊川「ああ。」

茂「昔 ようけ 描とったんです。 子供に そっぽを向かれんように 毎日 いいところで 終わらせるのが ホネでした。」

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