連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第98話「プロダクション旗揚げ」

玄関

菅井「帰れなんて 言わないで下さいよ!」

布美枝「あら この間の人だ。」

菅井「先生は 僕の絵を個性的だと言って 認めてくれたじゃないですか!」

茂「そんな事 言ったかなあ。」

菅井「後は デッサン力だって!」

茂「う~ん。」

菅井「僕 考えたんです。 デッサン力は アシスタントをしながら 磨いていけばいい。 実践の中で 力をつけていくのが 一番じゃないかって!」

茂「それは まあ そのとおりだな。」

菅井「ですよね!」

布美枝「あの…。」

菅井「あ 奥さん お帰りなさい。 アシスタント志望の 菅井 伸です。 覚悟を決めて この近所に 引っ越してきました。」

布美枝「えっ?」

倉田「水木先生…。」

茂「はい。 え~と あんたは?」

布美枝「倉田さんです。 倉田圭一さん! 来て下さったんですよ。」

茂「あ~! 大阪の看板屋か?」

倉田「はい!」

茂「お~! ええとこに来てくれた。 さ 中に入ってくれ!」

倉田「はい!」

居間

茂「ここ座って! こっちこっち。 よし。」

布美枝「誰?」

北村「あ~ 先生 急ぎましょう。 何としても 今日中には 印刷所に入れませんと。」

茂「助っ人が来たから もう安心だ。 あんた 今すぐ やれるかね?」

倉田「はい やらせてもらいます。」

茂「ほんなら ここに こういうタッチで 線入れしてくれ。 海の感じが出るようにな。」

倉田「はい。」

布美枝「燃えとる!」

布美枝「お父ちゃん。」

茂「え?」

布美枝「あの人 誰ですか?」

茂「ああ え~っと 名前 何だっけな? まあ ええわ。 時間がないけん 説明は後だ。」

菅井「すごいなあ! これが 漫画家の修羅場ってやつか。 先生 僕も お手伝いします!」

茂「あんた まだ おったのか?」

菅井「ええ。」

<狭い我が家は いつの間にか 奇妙な男達で あふれかえっていました>

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