連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第98話「プロダクション旗揚げ」

茂「すぐ戻りますけん ちょっこし 待っとって下さい!」

北村「そんな!」

茂「自転車で走っとった方が ええ知恵が浮かぶんですよ。 ハハハ。」

北村「はあ~ やられた! トイレに行くと言って部屋を出たのに 逃げるなんて あんまりです。」

布美枝「申し訳ありません。」

北村「奥さん 自転車 貸して下さい。 僕 後を追います。」

布美枝「落ち着いて下さい。 お墓辺り ぐるっと回ったら すぐに 戻ってきますから。 あの… 北村さん?」

北村「はい。」

布美枝「私も 出かけんといけんのです。」

北村「え? 僕 留守番ですか?」

居間

藍子「これ なあに? 犬?」

北村「馬だよ~!」

藍子「変な馬。」

北村「先生! 早く帰ってきて下さいよ~!」

<編集者に 張り付かれるのが苦手な 茂は こうして 時折 小さな逃亡を 試みるのでした>

深大寺

(カラスの鳴き声)

茂「毎日毎日 背後霊のように くっつかれとっては 出るアイデアも 出んよ。」

(カラスの鳴き声)

茂「カラスか…。 そうだ! カラスを使ってみるか!」

(カラスの鳴き声)

茂「カラスヘリコプターだ。 これなら どこにでも行けるぞ。」

小峰 章「カラスが 人を運びますか?」

茂「はあ 鬼太郎は ただの人間ではないので。 いろいろ 不思議な力を 持っとるんです。 ん?」

小峰「なるほど。」

(カラスの鳴き声)

茂「あんた 画家ですか?」

小峰「いや 元漫画家です。」

茂「元というと?」

小峰「出版社が 全部つぶれまして 廃業しました。」

茂「貸本漫画家か…。」

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