川
布美枝「もう お父さん どこ行ったんだろう? あ…。 お父さん 何してるの? 精霊船(しょうろうぶね)? お盆でもないのに? それ おばばの古い帳面でしょう?」
源兵衛「ああ。」
布美枝「なして 流してしまうの?」
源兵衛「おばばに送ってやろう 思ってな。 手もとにあった方が 安心するだろう。」
回想
登志「ご先祖様の魂は 船に乗って 川を下っていくんだよ。」
回想終了
布美枝「おばばのもとに届きますように。」
飯田家
ミヤコ「大根 今年も そろそろ 漬けんといけませんねえ。 もう… おらっしゃらんでしたねえ。(すすり泣き)」
川
源兵衛「布美枝 わしなあ… おばばに すまん事したわ。 最後の最後に 心配かけた。 わしは… だらず息子だ。 すまんな おばば。 家は 必ず守るけん。 手放すようなまねは 決して せんけん。(むせび泣き)お母さん…。(号泣)」
<布美枝は 父が 声を上げて泣く姿を 初めて見たのでした>