村岡家
台所
郁弥「何だか 最近 このうちは怪しい。 みんな 何か隠してませんか?」
かよ「郁弥さん。 秘密 守れますか?」
郁弥「えっ? 『蓮子 産気づく』?」
かよ「蓮子さん 実家の人に見っかって 連れ戻されんように お姉やんが甲府に連れてったです。」
郁弥「Really? じゃあ 蓮子さんと 駆け落ちした帝大生って…。」
かよ「宮本さんです。 郁弥さん? 聞いてます? てっ…。」
郁弥「すいません…。 感動してしまって…。 生まれてこようとしている命を みんなで守っているなんて…。 こんなに すばらしい話は ないです。 そんな家族の一員で… 僕も誇らしいです。」
安東家
寝室
(戸が開く音)
花子「蓮様 暖かくしてなくちゃ。 甲府の夜は 東京の夜よりも ずっと寒いんだから。」
蓮子「ありがとう はなちゃん。 何だか お母さんみたいね。」
花子「蓮様だって もうじき お母さんになるんだから こぴっとしてないと。」
蓮子「はい。 こぴっとします。 こんなに みんなに大事にしてもらえて この子は 本当に幸せね。」
花子「大事にするわよ。 だって 蓮様の おなかの赤ちゃんも 私たちの家族同然… いいえ 家族だもの。」
蓮子「はなちゃん…。 本当にありがとう。」
花子「蓮様。 絶対に幸せになってね。」
蓮子「今度こそ 幸せな家庭を作るわ。」
<これほど強い意志を持ち 幸福そうな蓮子を 花子は かつて見た事がありませんでした。 ごきげんよう。 さようなら。>