醍醐「どうしよう。 英語の手紙なんて書いた事ないわ。」
はな「おら やっとこさ A B C 覚えただに 英語の手紙なんて 逆立ちしても無理ずら。」
茂木「何ですか この縫い目は。」
はな「あっ!」
寄宿舎
醍醐「はなさん。 私の辞書を貸してあげるから 一緒に頑張りましょう。」
はな「醍醐さん…。」
醍醐「私 はなさんに落第されたら困るの。 だから 頑張って 一緒に進級しましょうね。」
はな「うん!」
醍醐「手紙は まず 最初に 『Dear Miss Blackburn』って 書くんですって。」
はな「ディア?」
醍醐「親愛なるという意味よ。」
白鳥「小さい人たち。 課題は 試験と同じですから 助け合ってはいけません。 富山先生に知られたら 2人とも落第になりますよ。」
醍醐「えっ?」
白鳥「当然ですわ。」
はな「醍醐さん ありがとう。 おら なんとか 一人で 頑張ってみるじゃん。」
白鳥「それに そのなまりは いつになったら直るんですか?」
労民新聞
吉平「あの~! 宿に言づてを頂いてたようで。」
「お待ちしてました。 浅野先生!」
浅野「ああ。 いや~ いらっしゃい。 この間は せっかく お訪ね頂いたのに 留守をしていて失礼致しました。」
吉平「ああ!」
浅野「あなたは 私どもの運動に 非常に共鳴して下さっている。」
吉平「あっ はい! 講演会に参加して 貧しい者 労働者のために 新しい法律を作ろうとする 熱意に打たれました!」
浅野「実は あなたのような賛同者を 待っておりました。 あなたに 是非やって頂きたい事がある。」
吉平「何でも やらせてもらいます。」
浅野「あなたは 全国のあちこちを巡る行商人だ。 その行商のついでに 私たちの思想について書かれた 新聞や書物を売ってほしいのです。 書物が売れれば それだけ 私たちの思想が広まる事にもなる。」
吉平「はあ…。」
浅野「名付けて 伝道行商。 お願いできませんか?」
吉平「やりましょう。 伝道行商!」
<おとうが そんな事に 首を突っ込んでいるとは 華族は 思ってもませんでした。」
安東家
庭
リン「はなは 暮れも正月も帰ってこんだけ。」
周造「そうさな。」
ふじ「冬休みは 帰れるだと。 ふんだけんど 甲府までの汽車賃も 送ってやれねえし。」
周造「婿殿が 東京行ったっきり 戻ってこんから はなの様子も分からん。」
リン「ほれ見ろし。 ふんだから 反対しただよ! キリスト教の学校なん行ったら 婿殿みてえな西洋かぶれになって 嫁の貰え手もなくなるだよ!」
朝市「いや。 嫁の貰え手なら おる。」
周造「ん?」
リン「ほんな物好きがいる訳ねえら~!」
修和女学校
ガス灯の下
はな「おとう 忙しいのかな…。」
スコット『♬~(英語での歌声)』
<英語の歌詞は 分からないけれど なぜか この曲に心引かれる はなでした。>
スコット♬『(歌声)』
<この曲は 別れた恋人への気持ちを 歌った歌です。 スコット先生には 日本に来る時 別れを告げた 恋人がいたのです。>
教室
富山「今日までですから まだ提出していない人は 早く出して下さい。」
<手も足も出ず はなは 絶望してしまいました。>