嘉納「さあ! 今夜は 神楽坂中の芸者呼んで どんちゃん騒ぎたい!」
村岡家
居間
花子「そう… よかったわね。」
玄関
英治「ただいま!」
花子「お帰りなさい。 どうしたの?」
居間
英治「工事現場の帰り 龍一君に飲みに誘われて…。」
龍一「女ってのはね 魔物ですよ! 僕は 蓮子の事が 分からなくなりました!」
英治「もう さっきから ずっと こんな調子で…。 ほら 龍一君。」
花子「龍一さん はい。」
英治「あ… どうも。 龍一君…。」
英治「石炭王とね 仲良く乾杯してたんですよ。 蓮子が 今の暮らしに がっかりしてるのは 分かってましたよ。 新米弁護士の稼ぎじゃ ぜいたくさせられないし 口うるさい おふくろは いるしさ…。」
英治「あっ!」
蓮子「龍一さん。」
龍一「はっ? 蓮子…。 何で 石炭王と 屋台なんか行くんだよ!? じゃあ 俺との逃避行は 何だったんだよ!」
英治「龍一君! でも… 龍一君が やけ酒飲みたくなる気持ちも 分かりますよ。」
花子「もう… 英治さんまで。」
英治「花子さん。」
花子「龍一さん。 蓮様は 別れたご主人に きちんと さよならを言ってきたんです。 こぴっと けじめをつけて 今日から 育児も家事も頑張るそうです。」
蓮子「龍一さん…。 私 今の暮らしに がっかりなんてしていなくてよ。 お義母様には 叱られてばかりいるけれど 嫌われないように頑張るわ。」
龍一「蓮子…。」
蓮子「帰るうちがあるって… うれしい事ね。」