カフェー・タイム
吉太郎「はなのやつ こんな時に仕事なんか…。」
かよ「兄やん?」
吉太郎「母親が仕事してるせいで 歩が どんだけ寂しい思いしてたか はなは ちっとも分かっちゃいん…。」
かよ「お姉やん 今 ほうしかできんじゃねえかな。 おらも あのころ ほうだった。 体 動かしていんと 苦しくて 寂しくて… 生きてるのが怖かった。 ふんだから 昼も夜も がむしゃらに働いてたさ。 お姉やんにとっちゃ きっと ほれが 物語作ったり 翻訳する事なんだよ。」
村岡家
書斎
英治「徹夜したの?」
花子「ええ…。 ありがとう。」
英治「梶原さんには 僕が電話して渡しておくから 君は ゆっくり休めよ。」
花子「まだ眠くならないから もう少しだけ。」
居間
梶原「英治君。 これ。 申し訳ない事を したかもしれないな…。」
花子『歩ちゃん。 あなたと一緒に このご本を 読みたかったのですよ』。
花子『でも もう あなたは 天のおうちね…。 お母ちゃまは バカでしたね…。 こんなに早く 天国に行ってしまうなら 仕事ばかりしていないで あなたのそばに ずっと いてやればよかった…』。
(雨の音)
花子『雨が降ってきました…。 お母ちゃまの心にも 雨が降っています…。 かわいい お宝の歩ちゃん…。 お母ちゃまの命は あなたの命と一緒に この世から離れてしまったような 気がします』。