連続テレビ小説「花子とアン」第14回「初恋パルピテーション!」【第3週】

回想

吉平「これじゃ~!」

はな「てっ! 本じゃん! おら 初めて本に触った。 夢みてえじゃん!」

回想終了

北澤「そうですか。 いいお父様ですね。 お父様は どんな お仕事を していらっしゃるんですか?」

はな「父は… あちこち飛び回って 商いをしております。」

北澤「海外にも よく いらっしゃるんですか?」

はな「海外?」

北澤「花子さんの英語の発音は お父様仕込みかと。」

はな「あ…。 英語は 最初だけ 父に教わりました。」

回想

吉平「グッド アフタヌーン。」

回想終了

北澤「やっぱり そうか。 花子さんのお父様は 貿易会社を 経営なさってるんですね。」

はな「ええ…。 そうです。」

伝道行商

<そのころ おとうは おとうで 家族の知らない 秘密の仕事をしておりました。>

吉平「はい どうぞ!」

吉平「日露戦争が終わって 国は 軍隊ばかりに金を使っている。 そのために 税金を どんどん上げて 俺たちの生活は ますます苦しくなるばっかりだ! こんな事でいいのか! いいはずがない! 皆さん こんな世の中を変えるのは 社会主義なる思想です。 まずは ここにある本を読んで 勉強してみませんか? お願いします!」

山田「ちょっと おめえ! どっか 行ってくんねえか。 おめえがいると こっちの客まで逃げて 商売 上がったりだよ! ほれ! これ やるから! 早く どっか行ってくれ。」

吉平「ほれじゃあ 代わりに これ読んでみてくれちゃあ。」

山田「おら 要らねえよ!」

吉平「字ぃ読めんでも分かるだよ。」

孤児院

(拍手)

<そして いよいよ クリスマスの日がやって来ました。>

はな『昔々 ある所に 子どものいない女の人が 1人で住んでいました。 女の人は 魔法使いに頼みました』。

松平『お願いがあります。 小さくてもいいから かわいい女の子が欲しいのです』。

はな『魔法使いは 花の種をくれました。 女の人が その種をまくと… チューリップの花が咲き そのつぼみから なんと 親指ほどの小さな女の子が 生まれました』。

醍醐『初めまして。 私 親指姫です』。

『ガアガアガア僕は ヒキガエルだ』。

(拍手)

岩田「みんな 目を開けて。 こっち おいで。」

(歓声)

はな「はい メリークリスマス。」

「ありがとう!」

「ありがとう!」

はな「はい メリークリスマス。」

「ありがとう!」

岩田「大成功でしたね。」

醍醐「ええ。 では 私たちも これで。 ごきげんよう。」

岩田「あっ 醍醐さん。」

<携帯電話やメールがない頃 男性は こんなふうに お目当ての女性のたもとに 付け文を投げ入れたのです。>

醍醐「よいクリスマスになりましたね。 楽しかったですわね。」

北澤「あの子に 英語で 紙芝居をやってあげたいんです。」

はな「私も 同じ事 考えてました。」

北澤「花子さん。 親指姫をやって頂けませんか。」

はな「ええ。」

北澤『ツバメは親指姫を 背中に乗せて 花の国に 連れて行ってくれました そこには小さい王子様がいて 親指姫をひとめ見て 好きになりました 王子様が言いました 私の妻になってください』

はな「えっ?」

北澤「えっ?」

はな『王子様… 私もお慕いしております …と親指姫は言いました』

北澤「ふたりは結婚して幸せに暮らしました」

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