連続テレビ小説「花子とアン」第155回「曲り角の先に」【最終週】

居間

花子「小泉さんったら 『赤毛のアン』ですって。」

英治「『赤毛のアン』…。」

花子「そうなのよ。 つまらない題でしょう?」

美里「『赤毛のアン』? 『赤毛のアン』…。」

花子「『窓辺に倚る少女』の方が ずっといいわよね?」

美里「そうかしら? 『赤毛のアン』…。 いいじゃない! すばらしいわ。 断然 『赤毛のアン』になさいよ お母様。」

花子「えっ… でも…。」

美里「『赤毛のアン』って いい題よ。 『窓辺に倚る少女』なんて おかしくって。」

英治「そうだな…。 『アン』を読むのは 若い人たちだからね。 美里の感覚の方が 案外 正しいのかもしれないよ。」

花子「う~ん… そうかもしれないけど…。」

美里「『赤毛のアン』にすべきよ。」

廊下

花子「あっ もしもし 門倉社長ですか? 村岡です。 先ほどは 大変失礼致しました。 ええ。 ああ いえ… あの…。 実は… あの… 娘が『赤毛のアン』がいいと言って 譲りませんの。 若い人の感覚に 任せる事にしました。 やはり 『赤毛のアン』にします。」

門倉『そうですか!』

小泉『ありがとうございます!』

花子「どうぞ よろしくお願い致します。 はい。 ええ。」

<こうして 『赤毛のアン』誕生致しました。>

居間

小泉「出来ました。」

花子「はい。」

英治「とうとう出来たね。」

花子「ええ。 はい。 これは 美里へ。」

花子「英治さん。 美里。 諦めずに 今日まで やってこられたのは 2人の支えがあったからよ。 本当にありがとう。」

美里「おめでとう お母様。」

英治「おめでとう。」

英治「この女の子 本当に君みたいで面白いよ。」

花子「スコット先生との約束を果たすのに 13年もかかってしまったわ。 先生にも お見せしたかった。」

<スコット先生は 花子に原書を手渡した数年後 祖国 カナダで亡くなったのです。>

回想

スコット「I have a book to give you.」

花子「『ANNE of GREEN GABLES』。」

花子「『曲がり角を曲がった先に 何があるのかは 分からないの。 でも それは きっと…。 きっと 一番よいものに 違いないと思うの』。

(空襲警報)

(爆撃音)

回想終了

英治「明日 書店に並ぶのが楽しみだね。 どうしたの?」

花子「あ…。 この本 日本の少女たちも 面白いと思ってくれるかしら?」

英治「曲がり角の先は 曲がってみなきゃ分からないよ。」

花子「そうね。」

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