連続テレビ小説「花子とアン」第50回「はな、お見合いする」【第9週】

ふじ「さっきから おとう おとうって どうしたでえ?」

もも「どうしたでえ?」

はな「いや… 何となく。」

(戸が開く音)

吉平「はな! 見合いなん断れ!」

ふじ「あんた!」

はな「おとう! まだ早いじゃん!」

吉平「しまった…。」

もも「信じられねえ。 おとう! おとう お帰り!」

吉平「えっ…。 おお! ももか! 大きくなったな~! アハハハ! おお 吉太郎。 変わりはねえか?」

吉太郎「『変わりはねえか』じゃねえ。 よくも のこのこ帰ってこれたもんだな!」

もも「兄やん!」

ふじ「吉太郎 やめろし!」

はな「せっかく おとうが 帰ってきてくれただから…。」

吉太郎「今っ更 何の用があって 帰ってきただ!」

吉平「父親に向かって ほの言いぐさは 何だ!」

吉太郎「父親だ! ずっと帰ってこねえで 何が父親だ!」

周造「キチ 落ち着けし。」

ふじ「吉太郎の言うとおりじゃん。」

はな「おかあ…。」

ふじ「今まで 何の便りもしなんで 一体 どこで何してただ!」

吉平「ほれは…。」

ふじ「どんだけ みんなが心配してたか 分かってるか!」

吉平「すまない…。 いろいろあって…。」

ふじ「いろいろって?」

吉平「ほの事は 後で こぴっと話すから 俺の事より はな! 望月さんとの縁談なん もちろん断るずらな?」

はな「ほれは…。」

吉平「はなを 東京の学校で勉強さしたのは 広い世界で英語を使って 活躍してほしかったからじゃん。 地主に 嫁がせるためなんかじゃねえ! こんな狭っ苦しい田舎で 一生 終えてもいいだか!? よし! 俺が今っから 徳丸さんとこ行って 縁談断ってくるだ!」

はな「てっ おとう!」

吉太郎「何にも知らねえくせに 勝手な事するじゃねえ!」

吉平「勝手な事!? おまんは はなが 好きでもねえ地主と 結婚すりゃあいいと 思ってるだけ!?」

ふじ「2人とも… 2人とも やめてくりょう!」

吉太郎「はなが見合いしたのは 何でだか知ってたけ!?」

はな「兄やん いいから…。」

吉太郎「家族のためじゃんか! 結婚したら 望月さんが このうちの借金 肩代わりして 家族の面倒まで 見てくれるちゅうで ほれで はなは見合いしただ!」

吉平「借金?」

ふじ「かよが… かよが こせえた借金さ。 かよは 製糸工場の女工の仕事が つらくって 東京の はなの所に 逃げ込んだだよ。」

吉平「かよが…。 我慢強え かよが…。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク