回想
かよ「てっ… お姉やん?」
はな「かよ! どうしたの?」
かよ「会いたかった… お姉やん!」
回想終了
ふじ「あんな明るい かよが… ひっどい痩せて ひど~い顔色してただよ。」
吉平「ほれで かよは 今…。」
はな「東京の洋服店で奉公してるさ。 東京なら なんぼでも仕事あるから 働いて借金返すって。」
吉太郎「はなが甲府に戻ってきたんだって 何でだか知ってたけ? 帰ってこねえ おとうの代わりに 金稼いで借金返すためじゃん! はなだけじゃねえ! おとうが帰ってこねえ間 みんなが どんだけ苦労しただか 知ってたけ。」
吉太郎「おとうの代わりに おかあが 徳丸さんに 何べんも何べんも頭下げてる事 おとうは 知ってたけ!? おかあだけじゃねえ! おじぃやんは 腰も足も痛えの我慢して 人手が足りねえから 休む事もできねえで 毎日 毎日 畑仕事してきただ。 ももは ちっくい頃から 友達と遊ぶのも我慢して 朝から晩まで 畑仕事 手伝ってきただ。」
吉太郎「ほれでも 田んぼと畑だけじゃ 食っちゃいけんから みんなで必死で夜なべしもして…。 こんなに働いても ちっとも 生活は 楽になんねえって おとうは 知ってたけ!? 何一つも知らねえくせに… 知ろうともしなんだくせに… おとうなんか… こんな おとうなんか おらたち家族に必要ねえ!」
はな「兄やん!」
周造「キチ もういい。」
はな「兄やん!」
周造「あいつが怒るのも 無理はねえ。 キチは おまんに代わって 家族の事を支えようと ボコの頃から 歯ぁ食いしばって頑張ってきただ。 こぴっと考えろ。 ここにいるのは おまんの家族だぞ。」
<おとう 本当に 何にも知らなかったんですね。 せめて 今日から 愛する家族のために お励みあそばせ。 ごきげんよう。 さようなら。>