連続テレビ小説「花子とアン」第51回「はな、お見合いする」【第9週】

吉平「所詮 おとうは 警察に追われるような大物でも 何でもねえ。 ただの行商じゃ。 家族の苦労なんか これっぽっちも知らんで…。 自分が恥ずかしい…。」

はな「おとう。 Go to bed.」

吉平「あっ?」

はな「今日は とりあえず ゆっくり寝るさ。」

吉平「ああ… この話は おかあには黙っててくれちゃ。 自分の亭主が こんな あほうだって知ったら おかあも悲しくなるら。」

はな「はっ!」

2人「てっ!」

ふじ「ほんなに驚く事ねえら。」

吉平「全部 聞いてただか。」

ふじ「あんたの情けねえ話は 全部 聞いたさ。」

はな「おら 明日早いから… おやすみなさい。」

吉平「ふじ。 長え事 すまなんだ。 このとおりだ。」

ふじ「全く… 世の中変える前に 自分の頭ん中 変えた方が いいずらよ。」

吉平「はい…。」

ふじ「ふんだけんど あんたが 大物じゃなくて よかった。 あんたは 小物なおかげで こうして 無事に帰ってこられたずら。」

吉平「ふじ…。」

ふじ「お帰りなさい。」

吉平「ただいま。」

嘉納邸

<そのころ 福岡の嘉納伝助の屋敷では 有名な演奏家を呼んで 演奏会が催されていました。 嘉納家の教育改革のために 蓮子が企画したのです。>

(煎餅を食べる音)

蓮子「(せきばらい)」

嘉納「おっ。 食うか? おっ! な… 何しよるとか。」

蓮子「(小声で)演奏中は 物を食べないで下さい。」

(すする音)

蓮子「本当に申し訳ございませんでした。 この家の者たちは 教養も礼儀も わきまえていなくて 本当に お恥ずかしい限りです。」

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