連続テレビ小説「花子とアン」第57回「乙女よ、大志を抱け!」【第10週】

廊下

蓮子「私 許せません!」

タミ「はい?」

蓮子「ろくに話し合う事もしないで お金を渡したんじゃ 何の解決にもならないでしょう!」

タミ「これが この家の 昔からのやり方ですき。」

蓮子「あんな大金を 勝手に支払うなんて!」

タミ「うちは 旦那様から信用されて 預かっちょるとです。 それが 何か?」

蓮子「妻である私に そんな口を利いて いいと思っているの!?」

タミ「妻! 妻らしい事やら 何一つしよらん人は 人形らしゅう 黙っちょきゃいいとたい!」

蓮子「何ですって…。」

嘉納「2人とも やめんか。」

タミ「先に奥様の方が 手を出したとですよ。」

蓮子「離しなさい!」

嘉納「とんでもねえ伯爵家の娘ばい。 ハッハッハッハ。」

蓮子「こんな家にいたら 私だって おかしくなります!」

タミ「あ~ 痛か。」

(伝助の笑い声)

蓮子の部屋

蓮子『主人にとって 私は 床の間に飾られた人形に すぎないのです。 どんなに財産があっても 生きがいのない毎日は むなしい。 今すぐにでも逃げ出したい。 けれど…』。

嘉納「俺たい。 ちょっと よかろうか。」

蓮子「何でございましょう?」

嘉納「今日は いろいろ すまんやったな。」

蓮子「もう結構です。 よく分かりました。 私が この家で いかに軽く見られているか。」

嘉納「何を言いよるとか。」

蓮子「爆発事故の事すら 知らされていなかったんですよ。」

嘉納「お前は… 仕事ん事は 知らんでいいと…。」

蓮子「どうかなさったんですか?」

嘉納「いや ごげんもない…。 あっ!」

蓮子「あなた! 誰か! 早く お医者様を! あなた! あなた しっかりして下さい!」

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