嘉納の部屋
医者「当分 しっかり 安静にさせちょって下さい。」
蓮子「はい。」
医者「嘉納さんは この地には なくてはならん お人やき 何かあったら すぐ 知らせちゃんなっせよ。」
蓮子「どうも ありがとうございました。」
タミ「旦那様 お気の毒に…。」
蓮子「主人に触らないで下さい。 主人の看病は 私が致します。」
タミ「お湯も沸かせんげな奥様が 旦那様の看病げな…。」
蓮子「出てってちょうだい! ほら 早く!」
タミ「何しよっとですか。」
嘉納「ううん…。」
蓮子「ご気分は いかがですか?」
嘉納「だいぶ ようなった。 うっ! ああ…。 まさか お前が 看病しちゃるとはなあ。 倒れてみるもんばい。」
蓮子「今は 仕事の事は忘れて ゆっくりと静養なさって下さい。 召し上がりますか?」
嘉納「ああ もらおうか。 熱っ!」
蓮子「あ… ご… ごめんなさい!」
嘉納「熱か。」
<蓮子が柄にもなく 夫の看病をしている頃。 はなは…。>
教会
図書室
蓮子『あなたは いつになったら 安東花子の名前で 本を出すのですか? ぐずぐずしていると おばあちゃんになってしまいますわよ』。
<『物語を書きたい。 何か書かなければ』と 焦れば焦るほど 自分に いらだってしまう はなでした。>