連続テレビ小説「花子とアン」第62回「グッバイ!はな先生」【第11週】

居間

吉平「帰ったぞ~! みんな どうしたでえ?」

はな「おとう… さっきのサダさんって人 何なの?」

吉平「ああ 新潟で しばらく 同じ木賃宿に泊まってただけんど。」

リン「ほれだけじゃねえら!」

はな「おとう! 本当の事言って。」

吉平「(小声で)サダさん なにょう言ったでえ?」

朝市「おじさんと約束したって…。」

吉平「約束? 何の?」

朝市「け… 結婚…。」

吉平「てっ! 結婚!? ほんな事ある訳ねえら! 何でえ? みんな ほんな話信じただけ! ハハハハハハハハ! はあ…。 バカ言え! サダさんには ちゃ~んと旦那がいるだ。 ふんだけんど ほの旦那が 荒くれもんで けんかっ早くってな。 サダさんは いっつも あっちこっち行って謝って ほれで また 旦那にたたかれたりして 気の毒な身の上じゃん。」

はな「おとう ほれじゃ 何もなかっただけ?」

吉平「酒を一緒に飲んだこんはある。」

リン「酒の勢いで 何かあったじゃねえだけ? 荒いざらい白状しろし!」

吉平「酔っ払ったあとのこたぁ…。」

ふじ「ふんじゃ… ふんじゃ… あの白くて高そうな くしは 何でえ?」

吉平「くし? ああ~! サダさん 気に入ってくれたからな。 ハハハハハ。」

吉平「てっ!」

ふじ「あんたみてえな男 もう愛想が尽きたじゃん! 出てってくりょう! 出てってくりょう! 出てけ!」

吉平「ちっと待ってくれ…。」

ふじ「出てけ! 出てけ!」

吉平「違う…。」

ふじ「出てけ 出てけ 出てけ!」

吉平「何かの間違えだ ふじ…。」

ふじ「出てけ! 出てけ!」

リン「あの女といい 婿殿といい とんでもねえじゃん! 塩まいとけし 塩!」

周造「そうさな。」

(ふじの泣き声)

リン「ふじちゃん! 絶対許しちゃ駄目だからね!」

ふじ「許せる訳ねえじゃん…。」

(ふじの泣き声)

玄関

吉平「ふじ…。」

周造「まだ いただか。」

徳丸商店

徳丸「何で わしが おまんを泊めんきゃならんだ。 帰ってくりょう。」

吉平「頼む! 今晩1晩だけでいいから! うち 追ん出されて 行くとこ ねえだ!」

徳丸「追い出されただとう?」

吉平「頼む。」

吉平「恩に着るじゃん。」

徳丸「ほの新潟の女のとこでも 行かれちゃ ますます ふじちゃんが気の毒

ずら。 今夜だけだぞ 明日は 出てってもろうからな。」

吉平「あの晩 酔っ払って サダさんと… いや~ ほんな事は ねえと思うけんど…。 いや… ふんだけんど 酔っ払ってたからな…。 いや 参ったな。 思い出せねえ…。」

徳丸「どうしようもねえ男だと 思ってたけんど 本当に許せんやつじゃん!」

吉平「何で 徳丸さんは ほんなに怒るだ?」

徳丸「うるせえ! 黙って寝ろし!」

吉平「(ため息)」

尋常小学校

(鐘の音)

教務室

はな「ゆんべ おとう どけえ泊まったずら。」

朝市「心配だなあ…。」

はな「ほうだけど おかあの気持ち 考えたら許せねえじゃん。」

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