連続テレビ小説「花子とアン」第72回「銀座のカフェーで会いましょう」【第12週】

聡文堂

梶原「うん。 いいじゃないか。 よし。 これで組んでみよう。」

醍醐「掲載決定ですか? はなさん おめでとう!」

はな「ありがとう…。 ありがとうございます!」

三田「僕は 日本の作家しいか認めませんけど まあ 翻訳物は 他誌がやってないから 珍しいかもしれませんね。」

梶原「夕方には 村岡印刷が原稿を取りに来るから。」

醍醐「私が村岡さんに渡しておきます。」

梶原「醍醐君は 岡田先生のところに 原稿を取りに行ってきてくれ。」

醍醐「…はい。 じゃあ はなさんは直接入稿してね。」

はな「村岡印刷さんですか…。」

醍醐「はなさん どうかして?」

はな「ううん!」

(ドアが開く音)

英治「遅くなってしまって すいません!」

はな「いえ。 お待ちしてました。」

英治「ほかの皆さんは もう帰られたんですか?」

はな「あっ ええ。 大雨なので みんな 早めに。」

英治「そうですか。」

はな「あっ あの… あ 雨 大丈夫でしたか?」

英治「雨… あっ ああ 降ってます。 かなり。 あなたも 早く帰った方が。」

はな「ええ…。 あっ その前に原稿を。」

英治「そうでしたね。」

はな「これです。」

英治「では 拝見します。」

英治「これ… 郁弥が渡した本の…。」

はな「ええ…。」

英治「花子さんが訳されたんですか?」

はな「梶原さんたちに 早く読んでもらうために 大急ぎで 1話分 訳してみたんです。」

英治「はあ… たった1週間で これだけの量を訳すなんて…。 あなたの集中力は ナマケモノ… いや それ以上だ。」

はな「やっぱり ナマケモノですか。」

英治「すいません…。」

はな「いえ いいんです。 ナマケモノは 泳ぐ時にだけ すごい集中力を 発揮するんでしたよね。」

英治「ええ… 僕は 何だか 感動してしまいました。」

はな「ナマケモノに?」

英治「いえ 花子さんに。」

はな「村岡さんから頂いた あの辞書のおかげです。 何だか 蒸し暑いですね。」

英治「あの… 開けましょうか。」

はな「あっ…。」

(風の音)

英治「うわっ!」

はな「てっ! 原稿が!」

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