はな「えっ?」
茂木「白鳥さんは 言語矯正会の会長役ですから 言葉遣いには 厳しいんですよ。」
白鳥「言葉の乱れは 精神の乱れです。 美しく正しい日本語を 話せるように努力なさって下さい。」
はな「はい。」
茂木「まあ 急には 無理だから ゆっくりと直していきましょう。」
(ベル)
茂木「お夕食の時間です。 食堂に参りましょう。」
醍醐「はなさん おリボンは どうなさったの?」
花「はっ? おリボン?」
醍醐「髪に おリボンをつけないのは 着物に帯を締めないのと 同じなんですって。」
はな「え…。」
醍醐「私のを 1つ差し上げるわ。」
安東家
居間
吉太郎「くたびれた。 はな~! 水をくりょう。」
周造「はなは いねえだ。」
吉太郎「てっ。 ほうじゃんけ~…。」
もも「おかあ!」
ふじ「はあ 帰ったよ。」
かよ「お姉やんがいないと ももは 言う事聞かんし つまらんじゃん。」
ふじ「はなは どうしてるだかねえ。」
周造「そうさな。 華族のお嬢様なんかと うまくやってけるずらか。」
ふじ「大丈夫 大丈夫。 きっと 今頃 目ぇキラキラさして 大好きな本を 思いっきし読んでるら。」
修和女学校
廊下
はな「ちょっと待ってくりょう!」
醍醐「はなさん?」
図書室
はな「本じゃん。 本の部屋じゃんけ! これ 全部 読んでいいずらか!」
富山「『読んでもよろしいのですか?』と 聞くものですよ。」
はな「読んでも… よ…。」
富山「もちろん 読んでもいいのです。 ただし 読めればですけど。」
はな「てっ! 何でえ こりゃ!」
富山「ここは 全部 英語の本です。」
はな「英語…。」
富山「明日からの授業に ついてこられるかしら。 まあ 頑張って下さい。 落第して退学になった ほかの給費生のように ならないように。」
<『おら こんなとこで やってけるんだろうか』。 はなは 心の底から不安になりました。 ごきげんよう。 さようなら。>