連続テレビ小説「花子とアン」第7回「エーゴってなんずら?」【第2週】

汽車

1903年(明治35年)

(汽笛)

<はなは 10歳で 故郷の甲府を旅立ちました。 汽車に乗るのも 東京へ行くのも 生まれて初めての事ばかり。 はなの小さな胸は 緊張と不安で 今にも破裂しそうでした。>

はな「おとう… おら…。」

吉平「心配するな! 修和女学校は ほりゃあ すばらしい学校じゃ。 はなの大好きな本が 山ほど読めるし 海の向こうの カナダっちゅう国から 来た先生たちが 英語で 授業をして下さるんじゃ。」

はな「エーゴ?」

吉平「グッド モーニング。 グッド アフタヌーン。 グッド イブニングじゃ。」

はな「何でえ ほれ。 何かの… 呪文け?」

吉平「(笑い声) 英語の挨拶じゃ。 おとうも これしか英語は知らんが これさえ覚えとけば 大丈夫。 なんとかなる。 朝は グッドモーニング。」

はな「グッドモーニング…。」

吉平「昼は グッドアフタヌーン。」

はな「グッドアフタヌーン…。」

吉平「そうじゃ。 夜は グッドイブニングじゃ。」

はな「グッドイブニング?」

(トンネルですすだらけになる)

はな「(せきこみ)」

吉平「ああ 大事な日なのに すすだらけになっちまった。」

はな「アハハ! おとう 鼻。」

吉平「あっ! アハハハ! はなも 鼻。 アハハハハ! やっと笑ったな。 真っ黒じゃ~ アハハハ! 真っ黒じゃ~。」

修和女学校

正門

吉平「はな 着いたぞ。 ここじゃ。」

はな「てっ…。」

<そこは はなが生まれ育った 甲府の村とは まるで別世界でした。」

吉平「いいけ? はな。 華族のお嬢様なんかに負けるな。 しっかり精進して 見返してやるだぞ。」

エントランス

吉平「ごめんくださいませ! 今日は 日曜日じゃから 学校は 休みずらか。」

ブラックバーン「Stop!」

ブラックバーン『男は立入禁止です!』

吉平「あの… 今日から こちらで お世話になる 娘のはなです。 私は 父親の…。 グッドアフタヌーン。」

茂木「安藤はなさん? ようこそ 修和女学校へ。」

<修和女学校は 明治時代の初めに カナダの宣教師によって作られた ミッションスクールです。 生徒の多くは 華族や富豪といった 特権階級のご令嬢たちでしたが はなは 吉平の奔走で 特別に入学を許されたのでした。 学費免除の給費生として。」

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