連続テレビ小説「花子とアン」第82回「ゆれる思い」【第14週】

蓮子の部屋

(ノック)

トメ「奥様。 お手紙が届いちょりますばい。 東京から。」

(ドアが閉まる音)

龍一『前略 脚本の第2稿 無事に届いております。 これにて上映するつもりです。 稽古への立ち合い 是非に願いたく思います』。

ダイニング

嘉納「おい。 もう一本 つけちゃってくれんね。」

タミ「はい。」

蓮子「あの… お願いがあるんですけれど。」

嘉納「何ね?」

蓮子「私が書いた脚本の 舞台のお稽古が始まるんです。 ですから 私 また 東京へ行きたいの。」

嘉納「その舞台に出るんか?」

蓮子「いいえ。 私は 出ませんわ。 けれど 原作者というのは お稽古に立ち会うものなのです。 ですから…。」

タミ「いいじゃありませんか 旦那様。 東京のお友達も さぞや 奥様に会いたいやろうし。」

嘉納「はなちゃんか。」

蓮子「ええ。」

嘉納「分かった。 そげん行きたいとなら しかたなかたい。」

タミ「旦那様のお世話は うちがしときますき 奥様は 安心して 東京へ 行きなすったら よかとです。」

<今まで さんざん 蓮子に反発していたタミが 突然 味方をするなんて 一体 何を たくらんでいるのでしょうか。>

聡文堂

執務室

梶原「では 次号の『銀河の乙女』は 2ページ増やすという事で よろしくお願いします。」

宇田川「でも また 『文芸東洋』と 締め切りが重なりそうなのよね。」

はな「私で お力になれる事があれば 何でも おっしゃって下さい。」

(雷鳴)

(雨の音)

宇田川「あら やだ。 雨? この傘 貸して。」

はな「あっ それは…。」

宇田川「何? 私に貸したくないの?」

はな「ああ いえ…。」

宇田川「じゃあ お借りするわ。 何なの? あなた。」

はな「この傘は…。」

<はなにとっては 大切な思い出の品なのです。>

はな「これだけは… 持っていかんでくりょう…。」

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