連続テレビ小説「花子とアン」第83回「ゆれる思い」【第14週】

リン「ほんな調子のいいこん言って! ふじちゃん。 ほら話に乗っちゃいけんよ。」

吉平「リンさんが口ょう挟むと 余計に もめるから 黙っててくれちゃ。」

リン「ふん! これが黙っていられるけ!」

ふじ「あんた 地道に おらと百姓やるって 仏壇の前で お父やんに誓ったこん もう忘れただけ!」

吉平「百姓をやめるなんて 言っちゃあいん。 百姓も夢を持たんきゃ駄目じゃん。 百姓 ビー アンビシャスずら!」

リン「な…。 はなちゃん?」

ふじ「てっ はな!」

はな「おかあ おばさん ただいま。」

吉平「てっ! はな!」

はな「グッド アフタヌーン。 おとう!」

吉平「おお… グッド アフタヌーン…。」

ふじ「いきなり帰ってくるなんて びっくりするじゃん。」

吉平「出版社は どうしただ? こんなとこにいて大丈夫なのけ?」

はな「うん! あ… 新しい雑誌が 出来上がって 一息つけたから お休み もらっただよ! おとうと おかあの顔 見たくて。」

吉平「ほうか。 早く見してくれちゃ。 ほの雑誌。」

リン「ああ。」

はな「…ごめん。 忘れた。」

吉平「え~? 忘れた?」

はな「慌てて汽車に飛び乗ったから つい カバンに入れるのを 忘れちまって…。」

ふじ「はな…。」

はな「アハハ…。」

吉平「何でえ。 はなの作った新しい雑誌 読みたかったじゃんな。」

居間

朝市「こんにちは!」

吉平「おお 朝市!」

はな「あっ 朝市。」

朝市「はな 久しぶり!」

はな「うん。」

朝市「おかあから聞いて 持ってきただ。 おじさん。 はなの作った新しい雑誌です。」

吉平「おお。」

朝市「学校で 校長先生や生徒らと読んだだよ。 はなの翻訳した『王子と乞食』 ものすっごく面白えですよ。」

吉平「てっ! はなが翻訳しただけ!」

ふじ「後で おらにも読んでくりょう。」

朝市「うん!」

はな「朝市 わざわざ ありがとう。」

朝市「はな。 こんな大事なもん忘れるなんて はな どうかしてるじゃん!」

はな「ほうだね…。」

朝市「いつまで いるでえ?」

はな「…しばらく いるつもり。」

朝市「ほうけ。 ほんなに仕事休んで大丈夫け?」

はな「うん…。 翻訳の仕事 持ってきたから。」

ふじ「朝市も ほうとう食ってくけ?」

朝市「本 届けに来ただけですから。 ほれじゃあ また。」

ふじ「さあ ほうとう出来たよ! た~んと食えし! ほら。」

はな「うん。」

村岡印刷

梶原「『にじいろ』 おかげさまで評判もよくて 次の号の問い合わせも たくさん入ってます。」

平祐「それは よかった。 英治が聞いたら喜びます。」

郁弥「兄 もうすぐ帰ってきますから。」

梶原「じゃあ 待たせてもらってもいいですか?」

平祐「ええ。」

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