純の自宅
純「あ~ 全然 頭に入らないよ~。」
愛「どうしたんですか?」
純「千香ちゃんにはさ。」
愛「ほう?」
純「偉そうなこと言ったけど 私も仕事してて全然楽しくないしさ~ どいつもこいつも 口を開けば『コスト』とか『売上』とかばっかりだしさ。必要もないのに 『ライバー』『デパーチャー』とかわけわかんない英語とか使うし いや わけわかんなくないけどさ もう ああ! お前ら全員ウチの兄貴か! っていう感じ。」
愛「そういえば 宮古の皆さんとは まだ 連絡取れないんですか?」
純「家に電話しても みんなの携帯に電話しても 相変わらず留守電なの この前さ お父ちゃんが『乾坤一擲』『起死回生のホテル債権策を思いついた』とか言ってたから なんかもう 今頃とんでもないことしてんじゃないかな と思うと もう不安で不安でさ。」
愛「へ~。」
純「ちょっと もう一回電話してみる。」
☎『ただいま 電話に出られません 発信音の後に…」
純「ほら もう 何やってんだよ~ まさか! 借金を苦に 一家心中とかしてないよね?」
愛「ふっ!」
純「ちょっと! 笑い事じゃないでしょ?」
愛「ああ いえ 違うんです 何かヒントがないかと思って 剛君の例のアレ 見てたら こんなのが 出てきて。」
剛『え~ 今から 誠ちゃんの家に突撃したいと思いま~す。」
純「全く コイツは ストーカーみたいなことを。」
誠『家まで 来てんな!』
純「あっ!」
剛「誠ちゃん最高!」
愛「ああ ウチの誠なら 剛君と連絡取れるんじゃないですか? 電話してみましょうか?」
純「あ! うん あ! 私がする」
愛「あ はい。」
純「うん。」
誠『もしもし?」
純「あ もしもし 誠ちゃん? あの 純ですけど」
誠『何?」
純「あのさ いや 剛 どこにいるか 知らないかな と思って」
待田家
誠「今 となりに居るけど?」
純の自宅
純「はい? え? どういうこと?」
待田家
剛「もしもし お姉 どうしたの?」
純「いやいや どうしたの って こっちのセリフだわ あんた なにやってんの?」
剛「誠ちゃんに遊びに来いって言われてさ 今お父さんと3人で 楽しくご飯中みたいな」
純「うそ? え? だって あんた あんなに嫌われてたんじゃ?」
剛「いや なんかさ 誠ちゃんも ようやく気付いたんじゃないの? 俺たちの運命の赤い糸で結ばれてるって この感じがさ… ってか どうしたの?」
純「あのさ 宮古の方に電話しても 誰も出ないんだけどさ あんた なんか知らない?」
剛「う~ん お父ちゃんが命令したんだよ『一切電話に出るな』って借金取りかも知れないからだって。」
純「いや そんな でも 私には連絡くれたっていいじゃない。」
剛「お姉にも何にも知らせるなって 言ったんだよ お父ちゃんが なんか相当ヤバいこと考えてるみたいだよ ホテルもず~っと休みにしてるしさ。」
純「何それ?」
カイザープラザホテル
宿泊部
『ごめんなさい。 お休みしています。』
一体 何考えてんのよ お父ちゃん。
純「はあ… うわっ! ビックリした。」
桐野「待田さん。」
純「はい。」
桐野「ちょっと 良い?」
ロビー
桐野「これ 外すの手伝って。」
純「え? え ちょっと なんでですか?」
桐野「上の命令だからよ。」
純「これは オオサキの理念で 社長がずっと 必死で守ってきた物じゃないですか。」
桐野「社長じゃなくて 前社長です。」
純「私… 桐野さんが 何考えてるのか 全然分かりません 社長のことが… 大先真一郎さんのことが ずっと好きだったから 解任された時 絶対について行くって思ってたのに なんで今の方が張り切ってるんですか? ずっとカイザーに居たみたいな顔して。」
桐野「今晩つきあってくれる?」