サザンアイランド
善行「お願いします。」
純「お父ちゃん! 何やってんの?」
善行「要らんようになったから 処分してるんねん。 今日で このホテル閉める。」
純「は? みんなで ここやり直すんじゃなかったの?」
善行「俺は そんなこと ひと言も言うてへんぞ。」
純「何言ってんの?」
晴海「どういうことですか おとうさん?」
純「みんなを油断させて 騙したわけね!」
善行「みんな お前が悪いんじゃ! お前がビーチのことなんか かあちゃんに入れ知恵するから 離婚とか言いだしたんや! おかげで おれは ここの会社の人間に 女房も説得できん男やと 見下されて 損害賠償ふかっけられて 詐欺で 今訴えられそうに なってんねん!」
善行「もう自己破産だけでは すまん 俺は犯罪者にされてしまう せやから せやから 俺は 持ってる土地と建物を売ってやったんや! どこが悪いんじゃそれの!」
純「ねえ お父ちゃんお願いだから みんなで 頑張って借金返そうよ。 ね?」
晴海「そうですよ おとうさん。」
善行「ああ!」
純「ちょっと。」
善行「俺はな 俺はもう この島に 居ることが耐えられへんねん。 もうこれ以上 居ったら 俺は 死んでしまう。 お前ら 寄ってたかって この俺を殺す気か? 俺はな 全身全霊あげて 家族守ってきたんや! こっから先はな 俺は 俺のために生きるんや!」
おじぃ ちょっと おかしくなってるよ この人
「狩野さん!」
善行「うん?」
「危ないですよ。」
善行「はい はい 持って行って。」
純「ちょっと! ちょっと! ちょっと待って! ちょっと これ おじぃのだから やめてください!」
善行「これは 俺の物じゃ 俺の物じゃ 俺の物じゃ!」
愛「純さん。」
善行「持ってって。」
純「お父ちゃん やめて。」
そして
「狩野さん 5万円と 受け取り書きますんで ちょっと 待って下さいね。」
善行「お願いします。」
善行「晴海。」
晴海「おとうさん。 これから どうすれば いいんですか?」
善行「道は一つや ビーチ売って 大阪行こう。 これで 借金は 返せる。 息子2人と嫁 路頭に迷わせんで 済むんや。 お兄ちゃん これで 一杯やってって。」
「すみませんね。」
純「お母ちゃん。 騙されちゃダメだよ。 宮古に残って ここで やり直そう。」
晴海「どうやって?」
純「それは… だから…」
晴海「どうしよう 正?」
正「こうなったら 大阪に行くチョイスがベターじゃないかな? ビーチだけあっても 宝の持ち腐れだし。」
純「そんな情けないこと 言わないでよ! 今回のことだって長男として責任感じてんの お兄ちゃん?」
正「長男 長男 長男って言わないでくれっかな いいかげん? だいたいさ 俺は長男なんかに生まれたくなかったんだよ。」
純「知らないわよ そんなの! 何でキレてんのよ?」
正「キレてねえよ。」
純「キレてんじゃないの。」
晴海「やめなさい。」
善行「おい 晴海。 どないすんねん? 言うとくがな 家も抵当に入ってるしな 借金返さえへんかったら 住むところないで 俺と離婚しても ええが そうなったら 一文無しや どないして借金返すんや?」
晴海「わかりました。 おとうさんの言う通りにします。」
純「お母ちゃん。 このまま 諦めちゃうの? おじぃには なんていうの?」
晴海「純! お願い これ以上苦しめないで。」
おじぃ 助けて どうしたら いいの?