里や
食堂
純「おはようございます!」
一同「…」
サト「安易なんだよね そうやって 悲しい音楽流せば 視聴者泣くと思ってんだから。」
純「あの。 おはようございます。」
サト「あ おはよう。 今日から よろしくね。」
純「はい! あの。 私 何したら いいですか?」
サト「適当に仕事見つけてよ あんた 一流ホテルにいたんだし 教えることないし。」
純「じゃあ 今日の予約とか 教えてください。」
サト「そんなもん あるわけないでしょ ウチはほとんど 飛び込みだし。」
純「じゃあ。 今の客室状況とか 今日のチェックアウト予定とか知りたいんですけど。」
サト「ここに書いてある アバウトでよければ。」
あ アバウトって…
純「あの じゃあ 私 空いてる部屋のお掃除してきます。 あの 今日から よろしくお願いします。」
一同「…」
サト「あ そうだ! 大事な事忘れてた。」
純「なんですか なんですか?」
サト「あんたのこと なんて呼ぼうか?」
純「いや 別に あの普通に名前でいいですけど。 待田とか 純とか。」
サト「いや そういうの普通でつまんないからさ ウチはみんな ニックネームで呼ぶことにしてんのよ 蘭はね 見た目通り『セクシー』」
サト「羽純は いつもジュース チュルチュルやってるから『チュルチュル』」
サト「忍は日本人じゃないみたいだから『セニョール』ね。」
サト「私は石原裕次郎と天海祐希のファンだから。ボスなんだけどさ 誰もそう呼んでくれないんだよね。 で?どうする?」
純「いや そう言われてもね?」
サト「前のホテルで なかったの? ニックネームとか?」
純「一応ありましたけど…。」
サト「なに? なに 教えてよ。」
純「社長…」
サト「え? なに聞こえない?」
純「社長です 社長 なんか面接の時に社長になりたいって言ったら 会社中に広まっちゃって。」
サト「じゃあ 決まり。 みんな この子のニックネーム『社長』ね。」
純「ちょっと 勘弁してくださいよ。 私 その名前 もうイヤなんです。」
サト「別にいいじゃない。 あんたらしいし 社長!」
ここでも それかよ…
客室
よーし! 働くぞー!
純「あの 今日から お世話になります 待田純です あの…」
コインランドリー
純「あの… ウチのお客さんですよね? よかったら 私 洗濯物やりましょうか?」
「結構です。」