小原家
居間
千代「忘れもん ないか?」
聡子「うん。」
千代「おばあちゃん 心配やわ。」
聡子「大丈夫や。」
千代「東京駅で 降りるんやで。」
聡子「うん。」
千代「優子姉ちゃんが 迎えに来てくれる ちゅうちゃったさかい。」
聡子「ふん。」
千代「あれ あれ。 お母ちゃん! おはよう。」
糸子「うん。」
(千代の笑い声)
糸子「あ… 行くんか?」
聡子「ふん。」
糸子「行っちょいいで。 気ぃ付けてな。」
聡子「行ってきます。」
千代「ハハッ はれ やれ。」
(戸の開く音)
玄関前
聡子「行ってきます。」
千代「行っちょいで。 気ぃ付けてな。」
聡子「行ってきます!」
千代「うん。」
東京・小原宅
優子「ここやねん。 さあ 入って入って。 さあ 入って入って。 遠慮せんと。 な!」
聡子「お邪魔します。」
優子「うん。 ごめんな。 うち すぐに 店に 戻らんならんよって 出るけど 好きにしといてな。」
聡子「ふん。」
優子「帰りは せやな 8時か9時ごろ なると思うけど 直子が 先に 帰ってくるかもしれへんし おなか すいたら 何や 適当に 即席ラーメンでも食べといて。」
聡子「うん。」
優子「ほなな。」
聡子「ありがとう。」
優子「行ってきます。」
聡子「行ってらっしゃい。」
(ドアの閉まる音)
<試合会場の近くのホテルでもとれば ええもんを 何でか知らん 聡子は 姉ちゃんらの部屋に 泊まりたがって 世話の一つ 焼いてもらえるでもなく その部屋から 毎日 会場に通て>
直子の店
優子「ちょっと すいません。 どないしたん? 聡子。」
聡子「優勝した。」
優子「へえっ! 優勝?!」
聡子「うん。」
直子「優勝?!」
聡子「うん。 全国1位や!」
直子「よっしゃ~!」
優子「すごいやん あんた! これ トロフィーか?」
聡子「トロフィー もろた。」
小原宅
<さすがに その日は 仕事も はよ切り上げて みんなで お祝いを しいちゃったそうです。 ところが アホの聡子は 岸和田には 電話の一本も 入れよらんかったさかい うちが知ったんは…>