<翌朝 もっかい のぞいてみたら>
<どうやら ほんまに 山を 登り始めたようなんが 面白て>
糸子「とりあえず ほっといてみちゃろか…。」
<さしあたり『学校に行け』とは 言わんときました。>
直子の店
<ところで 一方 東京の直子の店は ちゅうと 今や ごっつい人気店なんやそうです>
直子「駄目よ。 ミナはさ せっかく タッパがあるんだから それを生かさなきゃ。」
ミナ「そうかな? だけど 自分では 嫌なのよね。 女のくせに こんなデカいの。」
直子「駄目駄目 そんな弱気じゃ。 私の服を着るなら もっと堂々としてほしいの。 じゃなきゃ 作んないわよ。」
ミナ「嫌だ そんなの 困る! 分かった。 私 堂々とするわ。」
直子「そうよ。 その方が ずっとイカすわ。」
「こんにちは。」
直子「いらっしゃいませ…。 姉ですか?」
「ええ。」
直子「すみません 今 出張に出てるんです。」
「あら そうなの?」
直子「金曜には 戻りますから お名前 お伺いしておきましょうか?」
<その出張先ちゅうのが つまり 岸和田のオハラ洋装店です。 優子は この2年間 ずっと 岸和田と東京を 行き来して暮らしています>
小原家
居間
優子「あ~ しんど!」
糸子「また えらい 顔 しっかりしてきたなあ。」
千代「ご苦労さんやったなあ。 お店 相変わらず 繁盛してるんか?」
優子「先月の売り上げも 去年の倍や。」
千代「いや~ すごいなあ。」
優子「そのうち 6割が うちの売り上げ。 4割が 直子。」
糸子「やっぱし あんたの服のが よう売れるんか?」
優子「そうや。 せやから まあ 直子が ひがんで やりにくい やりにくい。」
直子の店
「優子さんは?」
「申し訳ございません。 ただいま 出張に出ておりまして。」
「じゃあ また 来週に出直すわ。」
<直子が嫌がる仕事を 優子が 代わりに引き受けてるうちに 優子のお客が どんどん 増えてったんやそうです>
小原家
居間
千代「まあ 一軒の店に 糸子が 2人おるような もんやもんなあ。 そら やりんくかろでなあ。 アハハハハハハ!」
糸子「何で やりにくい?」
優子「なあ。」
糸子「仕事は やりやすいやろ?」
<ほんでも 直子が言うには>
直子の店
「どうですか? 今 お時間。」
直子「ああ ちょっと ごめんね。」
「ひょっとして 取材?」
直子「うん。『モード・ジャパン』のね。」
「わあ すっごい。 さっすが!」
直子「ほんと ごめんね。 また来て。 すみません。 どうぞ そちらに。 嫌になっちゃう。 私 取材 多いのよね~。 姉んとこには ちっとも来ないのに。」
<…やそうです>