オハラ洋装店
「ほな またな 小原さん。」
糸子「ああ おおきに。 また どうぞ!」
<やっぱし もっと こう… ボチボチと… 丸う丸う…>
糸子「ああ~ しょうもな。」
直子の店
「優子さん。」
優子「え?」
「直子さんが『今日 残業ないなら 優子さんのアパート 寄っていいか?』って聞いてます。」
優子「何で?」
「さあ…。」
優子「いいわよ。『9時くらいなら』って 言っといて。」
「はい。 9時くらいなら いいそうです。」
直子「ふ~ん… ありがと。」
『2人で話せば いいのにね。』
『このごろ ますます険悪だから あの2人。』
優子のアパート
(ノック)
北村『お~い 来たど~!』
優子「えっ? 北村のおっちゃんや。」
北村「『お~い!』お~!」
優子「どないしたん? 東京 来てたん?」
北村「ほうよ! 展示会 あってよ。 言うてなかったんかよ?」
直子「うん。」
北村「シューマイ 買うてきちゃった。」
優子「うん ありがとう。」
北村「チビ 元気か? お~い!」
優子「シ~ッ 今 寝たとこや。」
北村「直子もよ ここ 住んじゃあったんけ?」
直子「うん。」
北村「お~ そら お前ら2人と チビやったら こら 狭いわ。」
直子「せやから 出たんやし。」
北村「ああ…。」
直子「店でも 一日 顔 突き合わしてんのに うち 帰ってまで 一緒に おりたなあいし。」
優子「こっちのセリフや。」
北村「かわいいの~ チビはよ。 お~ 見てみい見てみい ほれ。 ちっこい手ぇしてよ~。 ハハハハ!」
優子「うん よう寝てるな。」
直子「あんな。」
北村「お~ お~。」
直子「うち 店 辞める。」
北村「ああ…。」
優子「はあ?」
直子「店 辞めて 心斎橋で 新しい店 やる。」
優子「何 言うてんや? 急に。」
直子「おっちゃんがな 心斎橋のごっつい ええ物件 紹介してくれたんや。 家賃と面積は そこそこやけど 立地が 抜群や。 新しい店やんのに もってこいの場所や。 なあ?」
優子「何 勝手な事 言うてんや? 今の店 どないすんねん?」
直子「せやから 辞めるちゅうてるやろ?!」