松田「もっと 信用してあげはっても ええんと ちゃいますやろか?」
糸子「いや~ けど よう信じんわ あんなん。」
松田「ええっ?」
糸子「あんな いけずと いこじ。 そんな大したもん ちゃうで。」
2人「いけずと いこじ。」
糸子「ほんでな 一番下が アホ。 ハハハハ。」
2人「いけずと いこじと アホ!」
(3人の笑い声)
松田「これは よろしいわ。」
聡子「お母ちゃ~ん。 村山さんのデザイン 描けてんけど。 ふん。」
糸子「どれ。 また?!」
聡子「うん?」
糸子「あんた 何でまた こない スカート 短すんやな。」
聡子「はあ… あかんやろか?」
糸子「あんた こないだ お客さんに あんだけ『ハレンチや』言われて まだ こない短したいんか?」
聡子「うん。」
糸子「まあ デザインちゅうんは どれが正解て ないよってなあ。 あんたが こない短したい ちゅうんやったら まあ 短ても ええんかもしらんけど…。」
<ほんな事は なんぼ考えても 分からんよって」
オハラ洋装店
聡子「一応 描いてみたんですけど。」
<お客さんに 聞いてみる事にしました>
村山「うわ~! いや~ ほんでも このスカート丈は ちょっと…。」
聡子「あきませんか?」
村山「うん… やっぱし ちょっと短すぎるわ。」
糸子「いや ほんでも!」
村山「え?」
糸子「堪忍な 横から。 その短くすぎるちゅうんは 恥ずかしいちゅう事?」
村山「あ… うん。 そうです。」
糸子「恥ずかしいのは嫌やけど ほんまは こんなん はいていみたいと思てる?」
村山「はあ… ほんまは 思てます。」
糸子「ほんま?! ほんまは こんなん はいて 脚やら膝出して 歩きたい 思てるちゅう事?!」
村山「シ~ッ!」
昌子「先生! 声 おっきいです。 お客さん 恥ずかしがってはるやないですか。」
糸子「堪忍 堪忍な。 あ… 続けて。 ハハハ!」
聡子「思ってはるんですか?」
村山「はい。」
<は~ せやったんや!>
サエ「そら 女ちゅうんは 自分の きれえなとこは できるだけ 人に見せたいもんやさかい。 当たり前やんか。」
糸子「はあ…。」
サエ「うちかて 糸ちゃんに 初めてこさえてもろた イブニングドレス あれ 背中が シャ~って 開いてたやんか。」
糸子「ふん。」
サエ「あれ 着れた時 うれしかったよってなあ。『ひゃ~ こない背中て 見せて ええもんなんや』て思た。 出したいとこ 出さしてもろたわ~ ちゅうて ごっつい うれしかったで。」
糸子「ふ~ん…。 うれしい…。」
<短いスカート… 短いスカート。 ほんなけ 若い子ぉらが 内心 はきたがってるとしたら…>
(電話の呼び鈴)
松田「あ うち 出ますさかい。 はい もしもし オハラ洋装店でございます。 もしもし? もしもし? もし~? ああ 直ちゃんか?! うん?」
糸子「直子?」
松田「パリ? 今 パリから?! へ? 聡… 聡ちゃんか? な な 何? え みみみみ… みに みに じゅっ じゅっぺ? じゅぷ?」
<ミニ・ジュップ>