あらすじ
善作(小林薫)は勝(駿河太郎)の連隊を訪ねたが会うことはできなかった。糸子(尾野真千子)は歳暮として、野菜を近所に配ることにし、そのなかに、そっと安岡家を加える。勝が日本を離れたと知って間もなく、澤田(三島ゆり子)らが訪ねてきて、勝のミシンを資源として供出するように糸子に迫る。死んで国の役に立てという言葉に糸子は激怒し、その夜は隣にいない勝を愛しく思う。しかし階下では善作に大変なことが起きていた。
60回ネタバレ
小原家
オハラ洋装店
<昭和17年の年の暮れ お父ちゃんは ほんまに馬場の37連隊まで 出かけていきました。 けど 結局 勝さんとの面会は 許されへんかったそうです>
善作「会わしてもらえなんだ。」
(ミシンの音)
善作「クッソ~ ほんまに もう 軍隊ちゅう所は 情のない所やで。 う~ さぶっ。 あっ 優ちゃん! おじいちゃん 帰ってきたでえ。 これ お土産や!」
優子「お帰り! おじいちゃん。」
善作「ヘヘッ 食べよ 食べよ。」
優子「おいしそう。」
居間
糸子「ここ 大根 もう1本 足しちゃって それ ちいちゃいさかい。 ええか? 家の奥に 通して もうてから 中身 出すんやで。 あんまり 人目についたら ようないさかいな。」
縫い子達「はい。」
ハル「ほなな そ~っとやで。」
木之元電キ店
♬~(ラジオ『愛国行進曲』)
糸子「こんにちは!」
節子「ああ…。 おとうちゃん。 おとうちゃん!」
木之元「はい ごめんなさい。」
節子「糸ちゃん。」
木之元「おお 糸ちゃん。 どないしたん?」
糸子「これ。」
木之元「うん? 何?」
糸子「これ。」
木之元「うん? おお?!」
糸子「歳暮! 今年も 世話になったさかいな。」
木之元「うわ~ 助かるわ~ もう おおきになあ!」
糸子「お煮しめと雑煮ぐらい 出来るだけ 入れといたさかい ええ正月 迎えてや。」
木之元「おおきになあ。 節ちゃん こんなに もう…。」
糸子「何ぞ おもろいもんでも 入ってないんけ?」
木之元「さっぱりや。 もう 金属は 供出で 取られるばっかしやしな。 あっ 懐中電灯 要らんけ? ヘヘヘヘヘッ いざっちゅう時に ようさん あったら ええでえ。」
糸子「要らんわ。 全然 おもろない。」
木之元「確かに おもろうは ない。」
糸子「もうええわ。 ほな よいお年を!」
木之元「おう。 よう お年を。 おおきにな!」
節子「糸ちゃん! 糸ちゃん!」
糸子「どないしたん?」
節子「これ。 懐炉や。 油 入れて 火ぃ付けたら ぬくなるよって。 使て。」
糸子「ええの?」
節子「いっつも もらうばっかしやさかいな。」
糸子「おおきに。 ほんま 寒いさかいなあ ごっつい うれしいわ!」
節子「ええ年をな。」
糸子「よいお年を。」