玄関前
里恵「来た! 来た来た!」
玄関
里恵「来た だんじりや!」
ベランダ
♬~(お囃子)
「ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ!」
(拍手と歓声)
玄関前
松田「組合長。」
三浦「おっ 松田や。」
松田「おお~ ほほ 組合長! ご無沙汰してます~。」
三浦「これから 店か?」
松田「ええ。 何や 今年は お客が多いよって 手伝うてくれちゅうて 言われて。」
三浦「ほな わし 邪魔やな。」
松田「いやいやいや とんでもない! 先生が喜びますわ。」
<東京からのお客さんは 昼過ぎた頃に 次々と やって来ました。 ジョニーは シークレットブーツなしやと 誰にも 気ぃ付かれんそうです。>
<案外 このごろ テレビで 人気が出てきた白川ナナコの方が>
「あれ! 白川ナナコ ちゃうか?」
「うわ ほんまや!」
ナナコ「嫌だ~ 気付かれちゃった。」
<大変やったそうです>
台所
サエ「こんにちは。」
糸子「はれ! どないしたん? あんた 家の方 手伝わんで ええんんかいな?」
サエ「いや それがな この子らが『どないしても ジョニー 見たい』ちゅうよって。」
居間
糸子「心斎橋のな おっちゃんらが 行かれへんような店の きれいどころやで。 おいで おいで!」
3人「失礼します~!」
男達「おう おう うお~!」
「きゃあ~ ジョニー!」
ジョニー「ありがとう ありがとう。 どっから来たの? どっから来た?」
「格好ええ。」
「すてき~。」
オハラ洋装店
優子「先生 ほんと ご無沙汰してます~。」
原口「いつ以来だっけ?」
優子「直子の結婚パーティー以来ですよ。」
原口「ああ~!」
玄関前
糸子「遠い所 よう来れたなあ。」
源太「ちょうど 予定が合ったんです。」
原口「源太! あれ~ よく来たなあ!」
吉村「お帰り。」
小沢「お帰り。」
オハラ洋装店
原口「パリ帰り。 パリ帰りの男ですよ~!」
北村「うお~ 斎藤源太氏や!」
直子「うわ 源太! あんた 来れたんやなあ。」
原口「座れ 座れ。」
優子「座って 座って~。 いや~ パリから よう来たな~。」
直子「ちょっと! ちょっと 姉ちゃんばっかり 座ってらんとよ。 代わって!」
優子「何や うちかて ほんの今 お酌しただけやんか!」
直子「ああ もう ええて!」
優子「何や うちかて 久しぶりやて。」
男達「まあ まあ まあ。」
優子「何や あんた!」
井戸
糸子「お母ちゃ~ん お母ちゃ~ん!」
♬~(お囃子)
糸子「お母ちゃ~ん。 いてたか?」
昌子「いてません。」
糸子「もう どこ行ったんや お母ちゃん。 こっちやろか? あっ!」
昌子「あ~あ よかった!」
糸子「もう! お母ちゃん どこ行っちゃあったんよ?!」
千代「はあ~ ようさん お客さん いてんのに おとうちゃん おらんよって どこ 行ってしもたんやろ…。」
糸子「お母ちゃん! お父ちゃん もう とっくになあ…。」
松田「先生! おとうちゃん『どこぞに 挨拶してくる』ちゅうてましたで。」
千代「はあ…。」
昌子「まあ よかった~ よかった。 おうち 入りましょう。 な なあ。」
松田「怒ったったら あきません。 うちの母も ああでした。 適当に 話 合わせといちゃったら ええんです。」
糸子「うん…。」
サエ「ちょっと! ちょっと 恵さん! 見た?」
松田「えっ ななな 何?!」
サエ「冬蔵! 冬蔵さん 来てんやて!」
松田「えっ どこ? どこ どこ どこ?!」
サエ「そこ! そこやて! テレビと一緒に来てるらしいで。」
松田「はあ~! いや~!」
サエ「きゃ~!」
玄関前
♬~(お囃子)
オハラ洋装店
直子「聞こえたか? 聞こえたか? もしもし 聡子?」
(聡子の泣き声)