小原家
オハラ洋装店
糸子「孝ちゃん。」
孝枝「はい。」
糸子「岸和田のショッピングセンターの契約書やて。 今日中に こさえといちゃって。」
孝枝「あ 分かりました。」
<案外 一番 手ぇのかからんのが>
聡子のアトリエ
聡子「お母ちゃん 明日 直子姉ちゃんのショーやろ?」
<ロンドンにおる聡子です。 これは もう 遠すぎて 世話も 焼きようがないだけやけど>
糸子『行くで。 何か 言うとこか?』
聡子「うん。 まあ よろしゅう 言うと… うわ~あ~!」
糸子『な… 何や?』
聡子「ネズミや!」
<こんな聡子も 10年前 ロンドンに 自分のブランドを おこしました>
糸子『何?! どないしてん?!』
聡子「怖い! 信じられへん」
<信じられへんのは こっちや>
小原家
オハラ洋装店
糸子「こら! 里香! あんた いつまで寝てんや?」
<さて この虎の子ぉみたいなんは 優子の次女の里香で おとつい 東京の家を出て うちへ 転がり込んできました>
寝室
糸子「起き! 昼は 起きとくもんや!」
里香「うるせえよ…。」
糸子「あ~ ええ天気やな~! あんた どうせ 来るんやったら 先月 来た よかったのにな。 ほしたら だんじり 見れたで。 あんた いくつから 祭り 来てへんかいな? なあ?」
里香「さあ…。」
糸子「あれやで あんた。 だんじり 見てへんさかい こない グレてしもたんやで。」
里香「関係ねえし。」
糸子「来年まで ここ おり。 ほしたら だんじり 見れるさかい。 ええで~ だんじりは。」
岸和田商店街
<昔は 走って抜けた商店街も 今は ゆっくり歩くようになりました ほんでも だんじりは 今も昔も 何も変わらん速さで この道を突っ切っていく>
糸子「うれしいような… 切ないような。」