連続テレビ小説「カーネーション」第130回「まどわせないで」【第23週】

糸子「絶対 泰蔵にいちゃんのが 男前や。」

里香「先輩 見た事ないじゃん。」

糸子「この男前が あんた 大工方 やっちゃってんで。」

里香「大工方?」

糸子「はあ~。 あんた 大工方も 覚えてへんけ? だんじりの ごっつい危ない役や。 それを 黙々と こなしてやな ほんで うちら チビには ごっつい優しいんや。 男の中の男やったで。」

里香「何で 死んだの?」

糸子「戦争や。」

里香「ふ~ん…。 もったいない。」

糸子「ほんまにな…。 あんた 泰蔵にいちゃんばっかし 磨かんと 横の へたれも ちゃんと磨いちゃってや。」

里香「へたれ? えっ どれ?」

玄関

糸子「縦 縦 縦! ほんで しまいまで いったら 今度 横 横 横 横や! 分かったか? 分かったら 返事や。」

里香「分かった!」

糸子「はい。 こっから やらんか こっから。 きっちり!」

優子のオフィス

優子「そら ちゃんと 生活のリズムが 戻ったんは 進歩やけど とにかく 早う 高校へ戻さな。」

糸子『焦りな ちゅうてるやろ。 そんな 事急いちゃりな。』

優子「せやけど 今の高校かて 1年以上は 休学でけへんしなあ。 公立高校 生き直すちゅうたかて 何歳でも ええちゅう訳に いかへんねん。 はよせな… はよせな 手遅れなってまう。 はあ~…。 何で あんな なってしもたんやろ?『子供がグレんのは 親の愛情が 足らんからや』とか言うけどやな うちらなんか お母ちゃんに あんだけ  ほったらかされて育って ほんでも な~んも グレたり せえへんかった。 お母ちゃんに比べたら うちのが よっぽど 子供に 愛情注いでるわ。」

小原家

オハラ洋装店

糸子「気持ち 小さくしとこか。」

優子『なあ お母ちゃん。 うち… この日曜日でも いっぺん そっち 行こか?』

糸子「うん?」

優子『そっち 行って 直接 里香と 話 しようか。』

糸子「あかん。」

優子『何で?』

糸子「まだ早い。 あの子 まだ ジャージーしか 着れへん。」

優子『ジャージー?! 何で? 他のも 全部 送ってんのに!』

糸子「あのなあ あの子が ジャージー 着てる間は 周りが 何 言うたかて 一緒や。 そうゆう時期なんや。」

優子『いや けど そんな事 言うてたら…。』

糸子「まあ ちゃう服 着だしたら 言うちゃるよって 待っとき。 勝手に来た あかんで。」

優子『いや でも お母ちゃん…。』

糸子「ほな 忙しいさかい 切るで。」

優子『ちょっと。』

優子のオフィス

(電話の切れる音)

優子「なんやねん。 ジャージーて… 何しとんねん?!」

(ため息)

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