玄関前
記者「どうも ありがとうございました。」
孝枝「こちらこそ。」
糸子「気付けて。 おおきに。」
オハラ洋装店
糸子「分かったか? 奈津の住所。」
浩二「あ それが…。 すいません!『教えられへん』言われてしまいまして。」
糸子「はあ? 何?!」
浩二「はあ…。『個人情報やさかい あかん』言うて。」
糸子「んも~! 何でや?!」
浩二「すんません。」
糸子「あんた また ちっこい声で ボソボソ聞いたんやろ?!」
篠山「いや そら 声ちっさいんは 関係ないですよ。 今 個人情報ちゅうんは そない簡単に 他人に 教えられへんもんなんです。 なんぼ ドス 利かせたかて 一緒です。 ねえ。」
糸子「う~ん! うんう~ん うん!」
病院
受付
糸子「いや~ うれしいわ やっぱし。 頼んでみるもんやな。」
龍村「お安い御用ですて。 他でもない 糸子先生の頼みとくれば。」
3人「さいなら~ 院長先生!」
龍村「お大事に。」
「キャハハハハハ…。」
龍村「気ぃ付けて!」
「あの~ すんません…。」
龍村「うん?」
「桜井奈津さんの 連絡先なんですけど やっぱし お教えできません。」
龍村「え?」
糸子「何で?」
相川「当たり前です!」
糸子「え?」
相川「病院が 患者さんの個人情報を 漏らす訳にはいきますかいな!」
糸子「いや けど うちは あの子の古い友達で 様子が心配やよって 知りたいだけで…。」
相川「いかなる理由があろうと お断りします!」
糸子「何でや?! 教えてくれても ええやろ ケチ!」
相川「何とでも言うて下さい! あかんもんは あきません!」
糸子「ううう~ん…!」
龍村「怖~!」
<何や 個人情報て。 たかが奈津の住所が こむずかしいもんになりよって。 は~ 世の中 何でも えらい こむずかしなって さっぱり分からん>
<あの靴下は 何をどないしたんや?>
<この子の服は 一体 何て言うてんや? はあ~ さっぱり分からん…>
看護婦「小原さ~ん!」
糸子「は~い。 あんなあ あんた。 女の子が そない おなか冷やした あかんで。」