座敷
糸子「う~んと…。」
妹達『うわ~ すご~い!』
糸子「うん?」
静子『お姉ちゃ~ん! お姉ちゃん 来て。 すごいで!』
糸子「うん?」
居間
妹達「すごいな~!」
♬~(ラジオ)
糸子「どないしたん?」
妹達「来て 来て!」
♬~(ラジオ)
糸子「いや~ ラジオや!」
♬~(ラジオ)
糸子「うわ~!」
善作「まあ 中古やけどな 買うちゃってん 木之元んとこで。」
糸子「すごい すごい! ラジオや!」
ハル「また こんな 流行もん 買うて。 やかまし やかまし!」
善作「ヘヘヘヘへ!」
<根岸先生と入れ代わりで やって来た ラジオは 最初こそ お父ちゃんが…>
善作「ええか? スイッチ触ってええのは わしだけや。 1日1時間。 分かったな?」
4人「は~い…。」
<…って 怖い顔で言うてたけど そんな決まりは すぐに どっかへ いってもて…>
糸子「あ~あ!」
<朝も…>
ラジオ『5 6 7… 腕を横に! はい』。
善作♬『駿河の』
<昼も…>
善作♬『茶の香り』
ラジオ 落語『頭に しびれが切れたり足の裏に 頭痛がしたりしますのや。』
<夜も…。 一日中 ず~っと ついてるようになりました>
<2年が たちました。 うちは 19になりました。 この冬 小原呉服店は 夏用より ぬくい 冬用アッパッパを売り出しました。 お父ちゃんの思いつきです。 けどまあ これが売れません。 洋服は縫えるようになりました。 けど 岸和田では まだまだ 商売には なりません。 そもそも 洋服を欲しがる人が おらんのです。 そやから このころ うちは 手提げと前掛けばっかしを 縫うてます>