連続テレビ小説「カーネーション」第63回「切なる願い」【第11週】

寝室

優子「りんちゃん 見て!」

りん「うん? まあ 優ちゃん上手やんかあ。」

居間

昌子「着物を モンペにですか?!」

糸子「そや モンペや。 おばあちゃんの話 聞いて うち 目ぇから 鱗 落ちたわ。 モンペこそええ生地で こさえんならん。 ほんま そのとおりじょ。 息子や旦那の出征ちゅうたら やっぱし 一張羅で 見送っちゃりたいもんや。 結婚式かて 葬式かて そうや。」

糸子「お上は モンペを 正装と認めるやら しょうもない お触れ 出しよったけど 女は 内心 そんなん 認めてもうたかて 何も うれしないて思てるわ。 やっぱし 女は おしゃれが でけてこそ 元気も出るもんや。」

静子「せやけど そら おばあちゃんは お金持ちやさかい 大島でも 潰せるけど…。」

昌子「やっぱし 普通は もったいのうて そんな一張羅を モンペになんか ようしませんよ。」

糸子「そうや! そこや。 けど そら もう二度と 着物に戻せんて 思てるからやろ?」

昌子「モンペて 着物に戻せるんですか?」

糸子「分からん。」

昌子「何や…。」

静子「何や…。」

糸子「いや せやから それを 今から うちで 考えたろっちゅうてんや。」

昌子「はあ…。」

糸子「要は モンペにすんのに どう バラしたら ええかや。 どないしたら 着物に 一番 ハサミ 入れんで済むかや。 それを考え出せたら また お客さん 店に呼べる。 やっぱし あんなけ 衣料切符 上げられてしもたら しばらくは 新しい服なんか 誰も よう作らんやろ。 これからは『新しいモンペの作り方 教えます』ちゅうて また お客さん 店に呼ぶんや。 ええか お客の流れちゅうんは 止まってしもたら しまいや。 絶対 止めたら あかんもんなんや。」

2階 寝室

糸子「せや せや!」

台所

糸子「忘れるとこやった。 イヒヒヒ。 頂きます。 ふん… うまい…。」

<今どき こんなもん どこにも 売ってへん。 きっと おじいちゃんとこの コックさんが 粉と 砂糖と 何かと 何かで こさえてくれたんです。 おじいちゃん おばあちゃん コックさん おおきに。 糸子は 頑張ります。 見ててや>

台所

<おじいちゃんらのお見舞いが よっぽど効いたんか 次の日ぃから おばあちゃんが 起きてこれるようになりました>

オハラ洋装店

<うちらは 新しいモンペの研究を始めました>

糸子「ここで切ったら どないなる?」

昌子「う~ん。 いや そしたら 今度 つなげる時に 困りますわ。」

静子「ほな…。 こうは?」

糸子「う~ん。 いや 分かった。 いや これをやな…。」

昌子「痛っ! いった~。」

糸子「直子! あんた 何で 下に降りてきてんの? りんちゃんは? えっ? りんちゃん? りんちゃん? 何してんや? あんた 寝てん ちゃうやろな?!」

2階 寝室

<せやけど まあ とりあえず 子守りも どないかなってます>

座敷

(小鳥の鳴き声)

一同『はあ~ ええわ~! 格好いい! ええわ~!』

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