連続テレビ小説「カーネーション」第77回「明るい未来」【第14週】

オハラ洋装店

(ミシンの音)

優子「なあ お母ちゃん 直子に やられたとこ 痛い。 見て!」

糸子「知らん。」

優子「見て!」

(ミシンの音)

木岡履物店

木岡「下駄や。 下駄!」

「ゲタ?」

木岡「せや! 下駄。 日本のな 履物や。 そう 履物 足に こう… 靴 そう!」

<進駐軍ちゅうんは いざ 来てみたら そない言うほど 怖いもんや のうて…>

木岡「侍? おう 侍や!」

「サムライ?」

木岡「侍が こう履くんや。」

闇市

店主「泥棒~!」

木之元「これ 牛け? 牛の肉? お~! おおきに! サンキュー! 糸ちゃん 糸ちゃん。 これ 牛やて。」

糸子「牛け。」

木之元「ほんでな これは コーヒーの急須。」

<アメリカの珍しいもんを ようさん持ち込んでくれるし 日本のもんを よう買うてくれるしで 結構 ありがたい人らでした>

「これで… どや?」

糸子「いやいや そら むちゃや。」

「えっ?」

糸子「新品やで?!」

「新品? ほんまかいな?」

<闇市では 物々交換での買い物もできます>

「こんだけ。」

糸子「話にならんわ!」

「ああ ちょっと ちょっと!」

<世の中には まだまだ 物が足りてへんよって 軍需品の残りで こさえたようなもんでも 結構 ええ値がつきます。>

小原家

オハラ洋装店

<今は この一枚が そのまんま お金っちゅう訳です>

♬~(ラジオ)

3人「ただいま~!」

糸子「お帰り! ご苦労さん!」

<うちは 他の工場からも どんどん 余りの生地を 払い下げてもうて 片っ端から 着るもんに 仕上ていきました>

サエ「こんにちは。 糸ちゃん!」

糸子「サエ… あ…。 あんた 無事やったんか?!」

サエ「無事や 無事や! よかったなあ 糸ちゃんも 元気で。 店かて そのまんまやんか!」

<ほいでも…>

(泣き声)

<サエも 弟と親戚のおにいちゃん いろんな人を亡くしてました>

糸子「大変やったなあ…。」

サエ「うん…。 けど 糸ちゃんかて…。」

糸子「まあ… お互いさんやな。」

サエ「けど… 糸ちゃんの事やさかい 早速 ジャンジャカ 洋服こさえてるか思た。」

糸子「ああ… そんなん まだまだや。」

サエ「え~ 何でやのん?」

糸子「そら… 世間は まだ おしゃれどころやないで。 みんな 今日一日の御飯かて 食べられるかどうかやのに。」

サエ「何 言うてんの?! そやからこそやん!」

糸子「そうなんか?」

サエ「当たり前やんか?! うちかて 今日 ここに しゃれたスカートでも あったら 3日くらい 御飯抜きでも 買うちゃろ思て 来たんやで?!」

糸子「ええ?! 何で?」

サエ「何でて…。 は~ 糸ちゃん。 あんたは ええ商売人かもしれんけど やっぱし 何ちゅうか 女心に疎いとこ あんなあ。」

糸子「どういう事や?」

サエ「町 よう見てみ? 増えてるやろ?」

糸子「何がや?」

サエ「男や。」

糸子「男?!」

サエ「やっと 戦争 終わって 若い男が 戻ってきだしてる。 おまけに アメリカ兵は その辺 ウロチョロしてるしな。 もう うちなんか どんだけ おしゃれの血ぃ 騒いでるか!」

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