連続テレビ小説「カーネーション」第98回「ライバル」【第18週】

2階 座敷

優子「行く!」

珈琲店・太鼓

♬~(レコード『僕は特急の機関士で』)

北村「お前ら よう食うのう。」

優子「ん~ うまい!」

木之元「よう 毎度!」

店主「いらっしゃい。」

木之元「おっ 小原三姉妹やんけ。」

直子「こんちは!」

北村「おう 電気屋の大将?」

木之元「ん? ほうよ。」

北村「あれよ 電気屋 どない なっちゃあんの? わい 今日 久しぶりに通ったら 店 変っちゃあるやん。」

木之元「アメリカ商会な。 新し 始めちゃったんやし。」

北村「アメリカ商会?」

木之元「アメリカのもん 置いてんや。 ごっつ おもろいど!」

北村「いやいや 電気屋はよ?」

木之元「うん? やめた。」

北村「やめた?!」

木之元「うん。」

北村「何でよ?! 電気屋ゆうたら 今 ごっつい右肩上がりやろ? ボロもうけ ちゃうんけ?」

木之元「いや~ けど 何や ものの形が おもろのう なってきたしな。」

北村「形?」

木之元「ラジオでも何でも このごろのは えらい 四角なってな 色も ええ事ないし 店に いっぱい あったかて 何ちゅうか こう… うれし なれへん。」

北村「はあ。」

店主「分かるわ~。」

木之元「分かるやろ? 昔のラジオなんか ごっつ よかったよな! 今のは カックカクや。」

北村「まだ食うちゃあんの? お前ら。」

優子「大好物やもん 太鼓のホットケーキ。」

聡子「うちも好き。」

直子「うちは 今日はよう仕事したさかい おなか すいてんやし。」

優子「仕事て 何?」

直子「音楽係や 今日のファッションショーの。」

優子「はあ? 大した仕事 ちゃうやん。」

北村「優子はよ あの 受験勉強 ちゃんと やっちゃんのけ?」

優子「やってんで。」

北村「どこ 行くんよ?」

優子「東京の美大。」

北村「美大!」

優子「うん。」

北村「お前 絵描きになるんけ?」

優子「う~ん まあ 分かれへんけど。」

直子「うちは なるで。」

北村「はあ?!」

直子「うちは プロの絵描きになる。」

優子「はあ? あんたな そんな甘いもん ちゃうで。」

直子「甘かろうが 甘なかろうが うちは プロの絵描きになる。」

北村「あのよ お前ら お母ちゃんの 仕事とか 継いじゃらへんのけ?」

優子 直子「絶対 嫌や。」

優子「それだけは 嫌や。」

直子「うちも。」

北村「何でよ?」

優子「何でて そら… うちのお母ちゃん 見てたら 分かるやろ? 盆も正月も 何もなしに 朝から晩まで 仕事ば~っかし。 あんな働き詰めで 一生 終わんのなんか 死んでも嫌や。」

直子「うちも。」

聡子「なあ おっちゃん。」

北村「何や?」

聡子「それ もう食べへんけ?」

北村「食えや。」

聡子「わ~ ありがとう。 あかん! うちが もろたんや!」

北村「取り合うな 取り合うな!」

聡子「こら 何でやねん! 直子 返せや!」

北村「もめるな もめるなって!」

小原家

玄関前

北村「迷惑や! 違う お前ら 子供やから 分からへん。 迷惑! これは。」

優子「そんなん ないわ! はよ行ったら ええねん。」

直子「おばあちゃんかて そのつもりで 準備してるて!」

昌子「おばあちゃんが うれしそうに 準備してますよって はよ行ったげて下さい!」

北村「いやいやいや…。」

昌子「いっぺん帰って また来るさかい!」

北村「お前 帰るて お前 嫁でも行ったんかよ?」

昌子「行ってません! 新しい住み込みが増えて 押し出されたんです。 今 そこのアパートに住んでるんです!」

優子「もうええって はよ入り。」

<これは 毎度お約束の茶番劇で この手で こいつは 3か月に1度は うちで 夕飯を食べていきます>

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