喫茶店・ディッパーマウスブルース
♬~(レコード)
(ドアが開く音)
錠一郎「こんにちは。」
慎一「ようこそおいでくださいました。」
トミー「おう。」
慎一「こんにちは。」
るい「ごめんね 開店前に。 ホテルのチェックインまで 間があるもんやさかい。 こんにちは。」
慎一「どうぞ どうぞ。 ごゆっくり休んでいってください。」
トミー「何や 聞いてたより ずっと大きいイベントみたいやなあ。」
健一「そりゃあ あんたらが出る言うたからじゃろ。 ジャズやりょうる者あ みんな おんなじステージに立ちたがらぁ。」
慎一「あんまり出演希望が殺到したんで 昼前から開演して 終演までの間 お客さんが 自由に出入りできるようにしたんです。」
トミー「ふ~ん。」
慎一「スポンサーもついたんです! もう クリスマスの偕行社は 日本のニューオリンズですよ!」
るい「ジョーさん。」
錠一郎「うん?」
るい「ピアノ弾いて。」
錠一郎「えっ?」
るい「ボイトレするから。」
錠一郎「ボ… ボイトレ? いや そんな… えっ そ…。」
るい「ええから 早く!」
錠一郎「今から緊張せんでも…。」
るい「ジョーさん。 ジョーさん。」
錠一郎「もう…。」
るい「ボイトレ するから。」
錠一郎「分かったって。」
(せきばらい)
錠一郎「そんな…。 何時間前や 今。」
るい「あ~ あ…。」
(せきこみ)
るい「ジョーさん 早く。」
錠一郎「はい。」
ホテル
アニーの部屋
アニー「Oh, George. You’re here.(ジョージ いたの)」
ジョージ「Auntie. You must be tired.(伯母さん 疲れたんじゃない)」
アニー「I’m okay.(そんなことないわ)」
ジョージ「Are you ready to go to Osaka tomorrow?(明日は大阪だよ 準備はいい?)」
アニー「Yes.(ええ)」
ジョージ「I saw Ms. Otsuki today.(今日 大月さんに会ったよ)」
アニー「Oh. Did you?(あら そう)」
ジョージ「Yeah. She was disappointed that she wouldn’ get to see you again.(伯母さんに会えなくて残念がってた)She gave us these.(それで これをくれたよ)She wants us to come to this concert.(このコンサートに来てくださいって)In Okayama. It’s a strange coincidence.(岡山だなんて奇縁だね)」
アニー「Why jazz?(どうしてジャズなのかしら?)」
ジョージ「She said her father is a musician.(お父さんがミュージシャンなんだって)」
アニー「A musician?(ミュージシャン?)」
ジョージ「Aunt Annie. I think this is a great opportunity. Why don’t we go to Okayama…?(アニー伯母さん いい機会だよ 行ってみても…)」
アニー「No.(いいえ) I’m going to leave Japan tomorrow and never coming back.(明日 日本を出て 二度と戻らないわ)」