雉真繊維
勇「雉真繊維の野球部を作ったら ええと思う。」
千吉「勇。 今は どねんしたら社員一丸となって 繊維業界の苦境を乗り越えられるか いう話をしょおるんじゃ。」
勇「野球は チームワークじゃ。 会社も チームワークじゃ。 難しい局面も 力ぁ合わせて乗り越えていく。 その精神を野球で鍛えて どねえな試練があろうと くじけん そねん体質の会社にしていくべきじゃ。」
千吉「話にならん。」
勇「父さん。」
林「わしゃあ なかなか ええ案じゃ思います。」
千吉「おめえまで 何じゃ。」
林「勇坊ちゃんは 中学野球の名選手でした。 ずっと主将を務められていました。 その経験と能力で社員をまとめ 導いていくいうのんは あながち間違うとらん思います。」
勇「父さん。 わしゃあ 兄さんのようにはなれん。 わしのやり方でしか 雉真の跡継ぎには なれんのんじゃ。」
雉真家
庭
安子「お義母様。 兄のこと ありがとうございました。 あねん素直な兄を 生まれて初めて見ました。」
美都里「私は 何もしとらんよ。」
安子「あの…。 兄が たちばなを立て直すと 言うてくれました。 私には 生まれ育った家で… それから… 稔さんと出会わせてくれた場所です。 ありがとうございました。 それじゃあ るい。 お母さん お仕事行ってくるね。」
るい「うん 行ってらっしゃい。」
安子「行ってきます。 お世話 おかけします。」
美都里「るい。 おばあちゃんと おはぎゅう食びょうか。」
るい「うん!」
美都里「そんなら 半分こね。 はい。」
るい「頂きます。」
美都里「頂きます。 う~ん。 甘えなあ?」
るい「甘え!」
美都里「うん。 るいのお父さんも おはぎが好きじゃった。」
るい「本当?」
美都里「本当じゃ。 大学予科の 初めての夏休みに おはぎゅう買うてきてくれたんじゃ。 大阪で買いそびれたから 朝丘町の たちばないうお店で 買うてきたよ言うて…。」
るい「おいしゅうな~れ おいしゅうな~れ おいしゅうな~れ おいしゅうな~れ。」
美都里「何じゃ?」