スタジオ
録音室
ジャズ喫茶・Night and Day
ホール
木暮「寂しいよなあ。 もう ひとつきも 会うてへんねんから。 手紙のやり取りとか してんの?」
るい「いえ。 社長さんのお宅に住んではるから。」
木暮「さすがに気ぃが引けるわなあ。」
るい「はい。」
木暮「笹川社長とは こないだ電話で話したけど デビューの準備は 順調に進んでるらしいで。」
るい「そうですか。」
木暮「うん。 バンドも ベストメンバーそろえて レコーディングしてる言うてたわ。」
るい「それやったら よかった。」
木暮「うん。」
ベリー「ええことないわ。」
るい「あっ ベリーさん。」
ベリー「ひとつきも会うてへん? 手紙のやり取りも してへん? あほちゃうか! ジョーの行った先が どこや思てんの。 東京やで。 大都会 東京や! 東京いうとこにはな やたら こぎれいな女が ひしめき合うてんねん。」
ベリー「まあ 言うたら この店の客全員が 私レベルのルックスいうのと 同じようなもんや。 そないなとこへ ジョー 一人で行かせて 何をのんきな顔してんねん。 ジョーはチャンピオンやで。 チャンピオンで レコードデビュー控えた ジョーを狙う女は どっからでも わいてくるで!」
木暮「想像力たくましいなあ。」
ベリー「しかも 何やて? ササプロの社長の家に住んでる?」
るい「はい。 そこで トラペットの練習も作曲もしてる…。」
ベリー「危ない! あの奈々とかいう社長の娘も 一緒や いうことやろ? あれは絶対 ジョーを狙てるえ。」
るい「大丈夫です。 信じてます。」
スタジオ
録音室
♬~(『On the sunny side of the Street』)
(拍手)
「いいね!」
(ドアが開く音)
奈々「ジョー お疲れさま。 いい音がとれたわ。」
錠一郎「ありがとう。」
奈々「次は ジョーのオリジナル曲ね。」
錠一郎「うん。」
奈々「少し休憩して 再開しましょう。」
竹村家
台所
和子「はい はい。 うん。 おいしい。 ええ奥さんになるで るいちゃん。」
<クリスマスになれば 錠一郎に会える。 るいは そう信じて疑いませんでした>