居間
♬~(ラジオ『英語会話』のテーマ音楽)
るい「おはよう。」
ひなた「おはよう。」
ラジオ・東後『Hello, everyone.』
錠一郎「おっ。」
ラジオ・東後『Welcome to our English conversation program. How are you today?』
錠一郎「I’m good. Thank you, and you?」
ひなた「お父ちゃん 英語しゃべってるやん。」
錠一郎「お父ちゃんは ギブ ミー チョコレート 言うてた世代やからね。」
ひなた「何? それ。」
ラジオ・東後『皆さん おはようございます』。
ひなた「あっ 日本語しゃべった。」
ラジオ・東後『講師の東後 勝明です』。
ラジオ・バッハ『Hi, I’m Faith Bach.』
ラジオ・キャロル『Hello, I’m Walter Caroll.』
ひなた「何 言うてるか全然分からへん…。」
ラジオ・東後『それでは 今日のダイアログを聴いてみましょう』。
ラジオ『Mrs. Benson is busy cooking breakfast in the kitchen. When it’s ready, she yells upstairs.』
ラジオ・ベンソン夫人『Chris! Mike! Breakfast is ready. Come down quickly!』
ひなた「くいっく…。」
ラジオ・クリス『I’m coming, Mom!』
ラジオ・マイク『I’ll be right down, too.』
ラジオ・東後『That’s all the time we have today. See you next time Good bye.』
<その日は 何にも分からないまま 15分が過ぎました>
ひなた「はあ~ しんど。 学校行く前から勉強するなんて 正気の沙汰やないわ。」
錠一郎「ひなた。 はんこ。」
ひなた「そやった! はい。」
錠一郎「はい。 明日も頑張ろな。」
ひなた「うん! わあ~ パンダや! かわいい。」
錠一郎「あっ パンダか。」
ひなた「パンダやん。 ほら パンダ。 なあ?」
錠一郎「大福かなと思って…。」
ひなた「フフフフ… 耳ついてるやん。」
本屋
るい「すいません。」
大月家
居間
剣之介『おゆみ。 ちそうになった』。
『黍様…』。
ひなた「あ~かっこよかった。」
錠一郎「は~い また来週。」
(テレビを消す)
るい「ひなた。」
ひなた「何?」
るい「はい。 ラジオの『英語会話』のテキストや。 番組に出てくる英文やら 日本語訳やら 皆 書いてある。」
ひなた「テキスト…。 そんなんあるんや。 130円。」
錠一郎「へえ~。 回転焼き2個の値段と変わらんな。」
ひなた「わあ…。 お母ちゃん ありがとう! お父ちゃん ペン取って。」
錠一郎「おお…。 うん。 何 書くんや?」
ひなた「名前。」
錠一郎「持ち物には名前書かんとな。」
るい「貸して。 お母ちゃんが書いたげる。」
ひなた「うん。 わあ 英語や。」
錠一郎「すごいな。」
ひなた「かっこええな。 これ どれが『ひ』?」
錠一郎「これ 筆記体やからな。」
ひなた「筆記体?」
錠一郎「うん。 ここが『ひ』かな?」