榊原「新入社員の大月です。 私の直属の部下として いろいろ研修中です。」
剣之介「それは それは。」
ひなた「(心の声)『ひい~! ありがとう。 榊原さん。』」
剣之介「うん? 大月?」
付き人「モモケンさん。 『大月』というと…。」
剣之介「回転焼きの『大月』さんのお嬢さん?」
ひなた「あっ はい!」
剣之介「大きくなりましたねえ。」
ひなた「(心の声)『モモケンさん 覚えててくれた…!』」
剣之介「時々 差し入れ用に 付き人に買いに行かせてますよ。」
ひなた「えっ。」
榊原「あ… あの!」
回想
剣之介「ひとまず 100個頂けますか?」
錠一郎 ひなた るい「100個!?」
清子「大月さん! 大月さん。 産まれるんか?」
剣之介「私が送りましょう。 そこに車を待たせてありますから。」
回想終了
榊原「そんなことが…。」
剣之介「あの時 生まれたお子さんは お元気ですか?」
ひなた「あっ はい! おかげさまで 弟は すくすく育ってます。」
剣之介「そう。 よかった。」
大月家
居間
ひなた「それでな 言うたんや。 弟の名前は モモケンさんにあやかろうて お父ちゃんが言うて 桃太郎にしたって。」
錠一郎「ええっ そ… そしたら?」
ひなた「いいお名前ですねって!」
錠一郎「いいお名前ですねって るい!」
るい「ホンマに あの時は お世話になったねえ。」
錠一郎「うん。」
桃太郎「剣太郎の方がよかった。」
ひなた「何 ぜいたく言うてんの。」
錠一郎「えっ それで それで?」
ひなた「何が?」
錠一郎「いや モモケンさんと 何の打ち合わせやったん?」
ひなた「ああ コマーシャル撮るねんて。」
錠一郎「コマーシャル?」
ひなた「うん。 映画村の宣伝 テレビで流すんやて。」
るい「それに モモケンさんが出んの?」
ひなた「そう。 やっぱり『黍之丞』シリーズは 条映の看板ドラマやもん!」
るい「ふ~ん… すごいなあ。」
錠一郎「うん うん うん。」
太秦映画村
「では いきます!」
「よ~い スタート!」
(カチンコの音)
剣之介「映画村でしか 見られぬショーがある。 映画村でしか 買えぬ土産がある。」
「とりゃ~!」
「ていっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「とう!」
「はっ!」
「はっ! はっ!」
剣之介「条映太秦映画村 どうぞ お運びください。」
(拍手)
算太「いけ~ん! いけん いけん いけん いけん いけん! こねえなもん 一個も おもろうねえがあ。 どこの でえつなら このCMを企画したんは。」
榊原「あ… 私ですけど…。」
算太「お前か。」
榊原「はい。」
算太「にいちゃん こっち 来い。」
榊原「あっ はい…。」