連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第8話「1939-1941」【第二週】

おぐら荘

玄関

「いろはにほへと ちりぬ!」

「ぬすと!」

「待て~!」

くま「誰や? あ~ もう また鈴木君の女友達かいな もう。 しゃあないな あの子は 取っ替え引っ替え。 もう。 あのな 悪いこと言わへん。 やめときて。」

安子「あ… あの…。」

くま「そやけど あんた 鈴木君の好みにしたら また・・・ ええ? 地味やな これ。 それに また 顔がおぼこいなあ。 あっ そうか。 あの気ぃの きっつい女にひかかれて 顔に ばんそうこう貼んのん懲りたんや。 フッフッフッフッ。」

稔「ただいま帰りました。」

くま「お帰り。」

稔「安子ちゃん?」

くま「ええっ! 雉真君の女友達やったん? い~やっ 珍しや。」

雉真「はあ…。」

くま「いや~ でも よかったわあ。 あんたは あんたで 勉強ばっかりしてるやろ。 もう 私…。」

稔の部屋

稔「どねんしたん? 急に。」

安子「配達で…。」

稔「配達?」

安子「商店街の えっと… 荒物屋の 清子さんの親戚が こっちで結婚されて。 紅白まんじゅうを届けるように 頼まれたんです。 ハハッ せっかくじゃから 稔さんの住んどる町 見てみとうて。」

稔「そう。 何もねえとこじゃろ。」

安子「あ… お手紙に書いてあったとおり。 ヘヘヘッ。 しゃあけど 稔さんには会えんと思うてました。」

稔「ああ 今日は 午後の授業はねんじゃ。」

安子「そうですか。」

稔「ああ。」

安子「よかった。」

稔「何時の汽車で帰るん?」

安子「夕方… 5時半ごろのつもりです。」

稔「ああ…。」

映画館

『暗闇でしか 見えぬものがある。 暗闇でしか 聴こえぬ歌がある。』

(拍手)

口々に「モモケン!」

『黍之丞 見参!』

(拍手)

『て~い てやっ! うわっ!』

『うっ! うわっ…。』

『おい 行け!』

『おりゃ!』

(歓声)

『ううっ てやっ!』

『てめえ! あっ!』

(拍手と歓声)

食堂

稔「よかったよ やっと映画の約束が果たせて。」

安子「フフフッ はい。 モモケン 勇ましかったですねえ。」

稔「なあ 本当によかったんかな。 こんな学生用の食堂で。」

安子「稔さんが ふだん行きょおる場所がええんです。 う~ん フフフッ おいしい!」

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