夜ドラ「ミワさんなりすます」(第13回)

道中

ミワ「(鼻裏)」

<油断すると 頬が緩んでしまう>

紀土「ミワちゃん。 よう。」

ミワ「紀土くん…。」

阿部「久しぶり! ミワさん 何してんの?」

春鹿「これから うちら飲みに行くんだけど 来ない?」

ミワ「え… あっ…。」

阿部「軽く行こうよ。」

<春鹿さん 阿部くん かつてのバイト仲間だ。 正直 この人たちとはもう 関わりたくなかった>

回想

紀土「八海 崇もさ オワコンだよな。」

ミワ「あなたの話がつまんなくて みんな帰っちゃったんじゃないの? あとね ブルース・ウィルスじゃなくて ブルース・ウィリスだから!」

回想終了

阿部「今日は 紀土ちゃんのおごりだな。」

紀土「何でよ?」

春鹿「ありがとうございます。」

<なのに つい 先日の件を丸く収めたいと思って ついてきてしまった>

居酒屋 酒地獄

阿部「ミワさん?」

ミワ「えっ? あ… ありがとう。」

春鹿「何かさ ミワさん 雰囲気 変ったよね?」

ミワ「えっ… そうかな?」

春鹿「変ったよ。 何か あか抜けたっていうか。 だって うちら バイトしてる時 何か 背後霊みたいだったよね?」

(笑い声)

阿部「背後霊?」

春鹿「あっ 男だ。 男できたっしょ?」

ミワ「いや… いやいや…。」

春鹿「図星だ。 ヤバい 当たった! えっ えっ どんな人?」

ミワ「いや 男とか…。」

紀土「やめてやれって もう そういうの。」

阿部「いやいや いいじゃん いいじゃん。」

春鹿「年下? いや 年上だな。 当たりでしょ?」

ミワ「ううん…。」

春鹿「ヤバい ほらほら 吐いた吐いた!」

紀土「いないって言ってんじゃん。 こんなやつ 誰が相手すんだって。」

春鹿「普通にリーマンとか似合うじゃん。 意外にミワさんみたいなタイプ 需要あると思うし。」

阿部「あ~ リーマンか… なるほどね。」

(ジョッキを置く音)

紀土「ははは…。 なあ 無能を一発で見抜く方法って知ってる?」

阿部「えっ?」

紀土「例えば あのリーマン二人組。 あいつらは無能。」

春鹿「えっ 何で?」

紀土「腕時計してるやつって 俺の中で 大体 無能なんだよね。 時間を守ることに命かけちゃってんだよ。 体裁に重心がかかりすぎてる。」

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