書斎
泉「お久しぶりです… 八海さん。 泉です。 泉 飛露樹です。」
八海「よかった。 無事だったんですね。」
泉「俺が会いに来たら 迷惑がかかるのは分かってました。 でも… どうしても 感謝を伝えたくて。」
八海「そんなこと気にしなくても。」
泉「八海さんが借金の肩代わりを して下さったおかげで 無事に… 組を抜けることができました。」
八海「そうですか。」
泉「そして 新しい仕事も見つかりました。 これも 八海さんのおかげです。 ありがとうございました!」
八海「本当によかった。 しかし よく ここに入ってこられましたね。」
泉「あっ それは…。」
ミワ「あの… 申し訳ございません! 泉さんが とても困っていたように見えたので つい お通ししてしまいました。」
泉「ああ 彼女は悪くないんです。 俺が無理を言ったんです。」
八海「ミワさん。」
ミワ「はい。」
八海「ミワさんのように慎重で真面目な人が 困っていたように見えたから なんて理由で 通すとは思えないのですが どうしてですか?」
ミワ「思い出したんです。 泉さん… 役者さん ですよね。」
泉「えっ 何で…。」
ミワ「短いシーンでしてけど 泉さんが出演されている場面を 覚えていたんです。」
回想
泉『兄貴! 兄貴!』
八海『カナコを悲しませたら ぶっ殺すからな。』
泉『兄貴! 何で こんなクズみたいな俺のために…。』
回想終了
ミワ「クチナシの花が とても印象的なシーンでした。」
八海「だけど 泉くんは あの時 ほんの一瞬しか出ていなくて 確か クレジットもされていなかったはず。」
泉「はい。 八海さんの付き人として 修業させて頂きながら 一度だけ出演させて頂いたんです。」
八海「たった一回の そのシーンを ミワさんは覚えていたんですか。」
ミワ「はい。 お二人とも 輝いていましたから。」
泉「ミワさん… 覚えていて下さり ありがとうございました。」
ミワ「いえ…。」
泉「八海さん お借りしたお金は 必ず返します。 その日まで…。」
八海「いいんですよ。 あれは 私の付き人を辞めた時の退職金です。」
泉「そういうわけには…。」
八海「どうか 体には気を付けて。」
泉「八海さん…。」