なつ「どうして 私はないんですか?」
坂場「君の場合は…。」
桃代「あっ イッキュウさんと つきあってるから?」
なつ「えっ?」
桃代「いずれ 2人は 結婚するって思われてるからってこと?」
なつ「ちょっと。」
坂場「それは あくまで うわさですけどね。」
なつ「それは無責任でしょう。」
坂場「無責任?」
なつ「ただのうわさだと思うなら どうして否定しないんですか?」
坂場「君は すればいいよ…。」
なつ「えっ?」
茜「ねえ 実際は どうなのよ? 2人は つきあってるんでしょ?」
なつ「違います。 ね?」
坂場「はい。」
なつ「はあ… どうして そんなうわさが流れたのかな…。」
桃代「だって イッキュウさんと なっちゃんほど 馬が合ってる人いないでしょ?」
神地「確かに 合ってる 合ってる。」
なつ「ねえ もしかして モモッチが 仕上課で流してるんじゃないでしょうね?」
桃代「違うわよ。 なかなか進展しないから 最近は言ってないわよ。」
なつ「最近って…!」
坂場「仲さんに言えばいいことです。 僕とは 何も関係ないと。 仲さんに そう あなたは主張して下さい。」
なつ「そんなことは言えません!」
坂場「えっ?」
なつ「そんなこと言えば 仲さんを疑ってるみたいじゃないですか!」
下山「そうだよ。 そんな人間じゃないって 仲さんは。 それに そこまで イッキュウさんを 憎む必要だってないだろ?」
神地「分かりませんよ。 自分の作品を守るためなら。」
下山「えっ?」
神地「うちの映画は ますますダメですよ。 仲さんに頼った動物ものばかりで 童話的な世界から抜け出そうとしない。 代わり映えしませんよ あれじゃ いつまでたっても。 俺一人が頑張ったって どうしようもない 仲さんも かわいそうだ。」
下山「俺一人って また おっきいこと言うね。」
神地「また破天荒な『ヘンゼルとグレーテル』みたいなものを作りたいな。 今度は ちゃんとした長編映画で。」
坂場「それが 今は許されていないということです。」
なつ「だけど 今は テレビを頑張れってことじゃないですか。」
坂場「あなたは 今のテレビで 満足していますか?」
なつ「テレビのパイオニアになれって 大杉社長の言葉に 私は うそがないと信じます。」
下山「そう それこそ なっちゃんだ!」
坂場「一番大事なのは 予算と期日を守ることですか?」
なつ「それでも頑張るんです!」
おでん屋・風車
玄関
なつ「全く あんなに煮えきらないやつだとは 思わなかったわ…。 つきあってるのか つきあってないのか そのくらい はっきりしてよ…。」