坂場「お願いします。」
仲「分かった。 ありがとう。 うれしいよ 採用してもらえて。」
坂場「生意気を言って すみませんでした。」
仲「謝ることなんか何もないよ。 よし それじゃ すぐに始めようか。」
坂場「はい。」
<その日から 徐々に ピッチを上げて 映画制作は進み始めたのでした。>
栗原「茜さん これもお願いします。」
茜「あっ はい。」
栗原「はい。 堀内さんもお願いします。」
堀内「はい はい。」
神地「栗原さん。」
栗原「はい。」
神地「これ 出来ました。」
栗原「あ~ ありがとうございます。 坂場さん チェックお願いします。」
坂場「分かりました。」
おでん屋・風車
玄関
なつ「今日は わざわざ送ってくれてありがとう。」
坂場「うん。 仲さんのことは どうもありがとう。」
なつ「私は 何もしてません。 まあ 仲さんに ちゃんと謝れたことは 認めてあげます。 あなたも立派だった。」
坂場「僕は 映画を成功させたい一心だよ。」
なつ「それは 誰だって同じ。 立派なキアラを描いて あなたに ギャフンと言わせたかった。」
坂場「いつでも ギャフンと言ってますよ。」
なつ「えっ…。」
坂場「君には ギャフンと言わされっ放しだ。」
なつ「それは お互いさま。」
1階店舗
亜矢美「あ~ いらっしゃい… あ お帰り。 やっぱり いらっしゃい。」
坂場「こんばんは。」
なつ「もう終わり?」
亜矢美「ううん… 夏場のおでん屋はね お客様が来て下さるなら 閉店時間なんてないようなもんだから。 どうぞ イッキュウさん。」
坂場「あの 咲太郎さんは?」
亜矢美「うん? あ 咲太郎に用事?」
坂場「いえ… いらっしゃるなら お兄さんにも 是非ご挨拶をと思って。」
なつ「挨拶なんていいから 今日は!」
坂場「えっ 普通の挨拶だよ。」
なつ「ああ…。」
亜矢美「普通の?」
なつ「えっ?」
亜矢美「てことは 普通じゃない挨拶も あるっていうことか? そういうこと!?」
坂場「普通じゃない挨拶も そのうち させて頂こうと思っています。」
亜矢美「来た~! 来た 来た 来た 来た! あ~ 来た! ついに来た! この時が…! いや 待って! もったいないわ 私が一番なんて もったいないわ。 待って 待って 待って 今 咲太郎呼ぶから 待って…。。」
なつ「あっ いい! いいから いいから いいから…。 今日は普通だから!」
亜矢美「普通?」
なつ「うん。 お兄ちゃんには まだ言わないで。 今 作ってる映画が完成したら その時 私が言うから。」
坂場「いや 僕が言うよ。」
なつ「なら 2人で言うから。」
亜矢美「2人で… 分かった。 じゃ それは いつ完成するの?」
なつ「予定では 来年の春。」
亜矢美「春か… いや~ 待ち遠しい春だわ。 どうしよう どうしよう あ~ 黙ってる自信がないわ…。」
なつ「いえ… そこを なんとか!」
亜矢美「なんとか頑張ってみるけど…。」
なつ「お願いします。」
亜矢美「じゃ まずは… お手を拝借。 ♬『幸せなら手を叩こう』」
(手拍子)
亜矢美♬『幸せなら』