(ドアの開く音)
咲太郎「ただいま。」
光子「あっ お帰りなさい。」
なつ「お兄ちゃん… あっ 蘭子さんも!」
蘭子「なっちゃん お久しぶりね。」
咲太郎「来てたのか?」
なつ「うん。」
松井「ちょうどいい なっちゃんも これから飲もう。」
なつ「ダメ。」
松井「旦那なんか ほっとけって!」
島貫「家で プラプラしてるだけなんだろ。」
なつ「してませんよ。 ちゃんと働いてます。 旦那は関係なく お酒はダメなんです。」
松井「また帰っても仕事かよ。」
咲太郎「おい なつ 関東プロダクションって知ってるか?」
なつ「ああ 名前だけは。」
咲太郎「関東テレビの傘下に新しく出来た テレビ漫画の制作会社だけどな。 今日は そこで新しく作るテレビ漫画に この4人の声の出演が決まったんだ。」
なつ「えっ 蘭子さんも テレビ漫画に?」
蘭子「そう。 なかなか面白そうな作品だったわ。」
なつ「そうか… 制作会社が増えて どんどん新しいテレビ漫画が 作られていくからね。」
咲太郎「そうだ。 なつんとこも頑張らないと負けちまうぞ。 頑張って うちの声優を使ってくれ。」
なつ「お兄ちゃん。」
咲太郎「うん?」
なつ「私ね 子どもができたの。」
咲太郎「えっ 子ども?」
なつ「うん。」
光子「それが言いたくて なっちゃんは待ってたのよ。」
咲太郎「えっ 子どもって… 本当か? 本当に生まれてくるのか?」
なつ「うん。」
咲太郎「そうか! できたか! やった… やったな なつ!」
蘭子「なっちゃん おめでとう!」
レミ子 島貫 松井「おめでとう!」
なつ「ありがとうございます。」
柴田家
居間
砂良「はい もしもし 柴田です。」
なつ『なつです。』
砂良「ああ なっちゃん。」
なつ『砂良さん 母さんは?』
砂良「あっ 今 牛舎の方に行ってるけど 呼んでくるかい?」
なつ『あっ ううん いいの 急がないから…。 あのね 砂良さん。』
砂良「うん。」
なつ『私に 赤ちゃんが生まれるの。』
砂良「えっ? 本当にかい?」
なつ『うん。』
砂良「ああ… おめでとう! それなら すぐ みんなに知らせるわ。 あっ ちょうど来た! お義母さん!」
富士子「えっ?」
砂良「なっちゃんから。」
富士子「なつ?」
砂良「自分で聞いて下さい!」
富士子「は? 何を? もしもし。」
なつ『母さん?』
富士子「どうしたの? なつ。」
なつ『どうしよう…。 母さん…。 今 すごく母さんに会いたい。』
富士子「何があったのさ?」
なつ『本当は 少し怖いんだけど… 私も… 母さんになるの。』
富士子「えっ? なつ…!」