詰め所
富士子「じいちゃん!」
泰樹「なした?」
富士子「なつ… なつに子どもが生まれるって!」
照男「えっ。」
悠吉「本当にかい!」
富士子「本当…。」
菊介「なっちゃんにかい! そりゃ おめでとうございます!」
悠吉「おやっさん いかったね おやっさんのひ孫が増えるべさ!」
坂場家
リビング
坂場「もし お義母さんのそばにいられたら 安心だろうな 君も。」
なつ「でも しかたないよ。 北海道は遠いし 仕事は 産むギリギリまで休めないし。」
坂場「うん…。」
なつ「ここで頑張るしか…。」
坂場「うん。」
なつ「実は… 作監を頼まれたの。」
坂場「えっ 作画監督?」
なつ「そう。」
坂場「子どもを育てながら 作画監督ができるの?」
なつ「やらなくちゃいけなくなったの…。」
回想
なつ「仕事で もっともっと成長していきたいんです。 いい作品を作りたいんです! どうして それが 子どもができると できないんでしょうか?」
回想終了
なつ「ううん… やりたいの。」
坂場「うん… なら しかたないじゃないか。 やるしかないだろ。」
なつ「いいの?」
坂場「いいよ。 僕が 好きに働けと言ったんだ。 家で子育てするのは なにも 女だけと決まってるわけじゃないんだ。 2人で なんとか乗り切ろう。 な。」
<そして 数か月がたちました。>
東洋動画スタジオ
テレビ班 作画室
なつ「荒井さん これ 演出に見てもらって下さい。」
荒井「動かんでええがな こっちから行くし。 声かけてえや。」
なつ「じ~っと座ってるのも つらいの。」
荒井「ハッ… おなか もう破裂しそうやな。」
なつ「もう中から どんどん蹴って 何か 早く描け 早く描けって 言われてるみたい。」
荒井「ハハ ええ子やな! ハハ…。」
「これ 見てもらっていいですか?」
なつ「うん。」
休憩室
なつ「はあ… 一緒に深呼吸…。 フ~。」
下山「なっちゃん。」
なつ「あ… 下山さん。 仕事終わったんですか?」
下山「うん。 長編映画は 今 休みに入ったばかりだから。」
なつ「あ… 映画はいいですね。 終わりが見えてて。」
下山「いや なっちゃんも 終わりが見えてきたって感じかな。」
なつ「終わりじゃなくて 始まりです。 茜さんと明ちゃん 元気ですか?」
下山「うん。 あっ なっちゃん… 実は 今 考えてることがあってね。」
なつ「考えてること?」
下山「うん…。 あっ… なっちゃんは知ってる?」
なつ「何をですか?」
下山「あの人が戻ってきてるの。」
なつ「あの人?」