「お願いします。」
なつ「う~ん これじゃ 迫力が出ない。 線を太くしてみて。 あと もっと荒々しくていいから。 やり直して。」
中島「分かりました。」
なつ「よろしく。」
中島「はい。」
<引き受けた以上は ヒットさせようと必死でした。 優を迎えに行けない日も また増えていったのです。 そんな時 今は 茜さんに代わって この人が 優を預かってくれています。>
風車プロダクション
咲太郎「はい ここ ここ。 はい。 はい 優 連れてきたよ。」
<優は 咲太郎の声優事務所で ママの帰りを待つのです。>
光子「優ちゃん いらっしゃい。 は~い。」
光子「おなかすいたでしょ? これ食べててね。」
優「あり… あっ 光子さん ママがね ありがとうは 言っちゃダメって言うの。」
光子「えっ? 言わなきゃダメよ! ありがとうは 言わなくちゃいけません。 感謝の気持ちを持つことは 人間の基本です。」
優「はい。 ありがとうございます。 頂きます。」
光子「はい 召し上がれ。 なっちゃんは 何を考えてるのかしら…。 礼儀を教える気がないのかしらね。」
咲太郎「これは 俺か…?」
<優は 今でも みんなの愛情を受けて育っていました。>
坂場家
玄関前
<まるで 昔の自分のようだと なつは 時々思うのです。>
リビング
<そして ある日曜日のこと。>
(ブザー)
なつ「あっ 来たかな。」
優「夕見おばさん?」
玄関
なつ「そう。 は~い。 夕見 いらっしゃい!」
夕見子「久しぶり。」
優「夕見おばさん いらっしゃい。」
夕見子「優! おっきくなったな! 元気だったかい?」
優「元気です!」
夕見子「うん。 よし。」
リビング
なつ「雪見君は元気?」
夕見子「元気 元気。 元気じゃないと 小畑家じゃ やってけないしょ。」
なつ「そうだね ハハハ…。」
優「どうぞ。」
夕見子「ありがとう。 優 いいものあげる。」
優「ありがとう。」
夕見子「はい。」
優「雪月のお菓子だね!」